単行本

環境保護

環境保護は日本の歴史に秘策あり!

文藝春秋(2010, BSフジPrime News編

BSテレビ番組で大井玄先生と出演したものが活字になりました。「”長寿”が地球を滅ぼさないために」がわれわれの回のタイトルです。 他に、松井孝典、養老猛司、安田喜憲の諸氏のものがのっています。

ウニ学

ウニ学

東海大学出版会(2009)

2001年に出した「ヒトデ学」の姉妹版。今度はウニです。ウニのすべてが分かる画期的な入門書。まずウニに関するQ&Aで、ウニについて私が概説してから、その後、専門の方々に詳しいことを書いていただくというスタイルをとっています(私は棘の章と神経系の章を担当)。
朝日新聞の書評で高村薫さんが絶賛してくれました。こんな、かぎりなく専門書に近いものが、朝日の書評で取り上げられるなど、そうはないことです。快挙! 書評をよむ

なまこ平和

世界平和はナマコとともに

阪急コミュニケーションズ(2009)

小生の第3エッセイ集。プシコ連載のナマコエッセイ、日本とアメリカの科学の違いを論じた「寿司サイエンスとハンバーガーサイエンス」の日本語版、さらに教育論が入った刺激的エッセイ集です。産経抄に引用されました。

読売新聞に書評が出ました。 心臓も脳もなく、「砂の上に転がっている」ナマコは、なぜ他の生物に食べられずに生きていけるのか。 人気の生物学者が、その生態などをエッセーにまとめた。 生物学的な視点からみた現代社会と時間についてのユニークな考察も、 説得力十分で心を打つ。(阪急コミュニケーションズ、1500円) (2009年2月16日 読売)

サンゴ礁

サンゴとサンゴ礁のはなし

中公新書(2008)

2008年の「国際サンゴ礁年」にあわせて、絶版になっていた「サンゴ礁の生物たち」を大幅に改訂しました。サンゴの白化が問題となり、地球上に「健全な」サンゴ礁は30%しか残っていないと言われています。サンゴ礁のことを知りたかったら、まずこの本、という役割を旧著「サンゴ礁の生物たち」ははたしていたのですが、それに代わるものを、ということで、大改訂したのがこの本です。
今この話題で本を書くと言うことは、たんなる生物学の本というわけにはいかず、環境問題とどう取り組むかを考えなければなりません。 私の答えとしては、30年前(私のいたころ)の沖縄のように、物質的には貧しいが、それ以外のものはじつに豊だった、ああいう社会をめざせば、問題は解決できるだろう、というものです。でも、物質的に貧しくなろう、などと言っても、なかなか通用しないでしょうね。 いずれにせよ、環境問題、生物多様性、共生、がサンゴ礁のキーワードであり、そしてそれは、サンゴ礁のみならず、現代社会が直面している大問題なのです。

長生き

『長生き』が地球をほろぼすー現代人の時間とエネルギー

阪急コミュニケーションズ(2006)

「時間」(NHK出版)の増補改訂ハードカバー版。2007年問題が間近になった今こそ、この本の出番です!
前回は反響がなかったのですが、今回は大違い。読売新聞や週刊新潮がすぐに書評をのせてくれ、日刊ゲンダイは著者インタビューに来てくれました。好評です。
環境問題、少子高齢化、忙しくなるばかりの時間ーこれらの大問題を、もうわれわれは避けては通れないのです。これらの大問題を見通す鍵となる考えが「生物学的時間」だというのが私の主張です。2009年のBSフジ「プライムニュース」や2010年BS11「インサイドアウト」にもお声がかかり、この本を元にして延々と語りました。 書評をよむ

内容紹介(阪急コミュニケーションズのサイト)
おまけ

おまけの人生

阪急コミュニケーションズ(2005)

久しぶりのエッセイ集。
山本夏彦氏絶賛の「美人量保存の法則」。
夏目漱石は、最初の子供が生まれたときに、海鼠のような子を生んだと形容したのだが、こんなこと言われた奥さんは、さぞいやな気になったと思われる。 なのになぜナマコなどと漱石は言ったのか? と、ナマコ博士としては、こういうことも追求します(「漱石と海鼠」)。
小生の時間論も、生物の時間だけに止まらなくなりました。ゾウの時間ネズミの時間から、道元禅師の時間論に切り込んで行きます(「道元の時間」)。
理科離れに関するエッセイ、生物学は物理学と考え方が違うのだ、などとする科学論。
それに、小学校の国語の教科書に文章が採用されたものだから、教師用の出版物に、自分の子供時代のことも書かねばならなくなり、恥ずかしながら思い出を書いた文章など、盛りだくさんの内容です。
読売新聞(7月31日)に、吉田直哉氏が、とてもよい書評を書いて下さいました。 書評をよむ

ナマコガイドブック

阪急コミュニケーションズ(2003)

日本初のナマコの写真集兼入門書。 日本近海で見られるナマコのほとんどがカラー写真(楚山いさむ氏撮影、同定と種の解説は今岡亨氏)で載っています。小生はナマコ学入門編を、会話形式で書いています。斬新なスタイルのナマコ入門書です。

 

 「ゾウの時間ネズミの時間」で広く知られる本川達雄先生の専門でもある  "ナマコ”をカラー写真とともに、会話中心に構成した楽しい本。もちろん、  いつもの楽譜つき。編集者に”癒し系の動物は、けっこう人気があるんです”と言われて”な  るほど”と思う著者は、”ナマコがあのようなゆったりとした生活を送れる  秘密を知るにつけ、ナマコを尊敬できるようになった”そうです。
 Q&A形式でナマコについて知ったあとは、本川ワールド。気になる体制  のはなし、奇妙な管のシステム、ユニークなくらし方、そして最後はめくる  めくカラー図鑑で締め。(ズー・エクスプレス No.177 - Aug 13, 2004)

歌う生物学 必修編

阪急コミュニケーションズ(2002)

これは本であるとともに全70曲入りのCD3枚がついています。 これさえ歌えば、高校の生物がすべて覚えられるという画期的な教材! テレビでは「はなまるマーケット」や「徹子の部屋」でも紹介されましたし(徹子の部屋では「勇気りんりんアドレナリン」と「肝腎演歌」をバンドをバックに歌いました)、なんとあのScienceに、Songs of lifeというタイトルで、著者の写真入りのけっこう大きな紹介記事が出ました(Science, 300:49)。 小生の歌も、国際的に知られるようになったのであります、ハッハハハ。

歌う生物学評判記を読む(書評、Scienceの記事もあり)

本書の目次や、なぜ本書を書いたのかは、こちらに書いてあります。歌も何曲か聞けます。

ヒトデ学

東海大学出版会(2001)

棘皮動物学の日本初の入門書。 生物学者のみならず、水産学や古生物学の方々にも声をかけ、編者(兼著者)としてけっこう苦労してつくったものです。 自分のやっている分野に入門書が1冊もないなんていう状態は、良いことではありません。 こんな面白い重要な分野があると、一般の方々にお知らせする義務が研究者にはあるはずですし、 また、同じ道をめざしてくれる学生をリクルートするためにも、良い入門書は必要です。 この本は寄り合い所帯でつくったにもかかわらず、よくできた入門書だと思います。 ・・・でもまあ、振り返って見れば、入門書のない分野ばっかりやってきたなあと我ながら思いますし、 また、俺も親切な人間だなあ(入門書を書くというのは、義務感と親切心にあふれていないとできません)とつくづく思ってしまいます。

ナマケモノ

ナマケモノの不思議な生きる術(すべ)

講談社+α文庫(1998)

これは1993年に「歌う生物学」のタイトルで、単行本で出版されたものを大幅に加筆したもの。

楽しみながら学べる生物学の入門書。 学問と人生の結びつきが伝わってくる
(「新入社員に薦める本」朝日新聞、2001年4月7日夕刊)

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生きものは円柱形

生きものは円柱形

NHKライブラリー(1998)

生物は円柱形をしています。木の幹も、われらの胴体も手足も、円柱形ですね。 体の形や、体をつくっている素材(一番多いのは水)について述べながら、生きもののデザイン原理を考えていく本。そして、生物のデザインと対比させて、人工物のデザインがどうなっているかを考えると、それは自然をできるだけ効率よく破壊し、はねつけるようデザインされていることが見えてきます。
生物とは、自然環境に適応するようにできています。人工物は、環境に適応しないからこそ、すぐれた人工物なのですね。
でも、そのような人工物ばかり作っていて、はたしてよいのでしょうか?
生物のデザインから、今の工業社会を考え直す本です。
これはNHK教育テレビ「人間大学」のテキストを、大幅に加筆してまとめたものです。

水っぽくて、やわらかく、円柱形という、生物に共通するデザインは、どのようにして決められてきたものなのか。さまざまな動きに適した「かたち」に着目して、生物学の基礎をやさしく説く。ポイントをまとめて自ら作詞作曲した歌も収録。(朝日新聞、1998年、4月13日)

自然科学がわかりにくい原因をイメージの欠如と考える著者は、生物の世界を、円柱・紐・膜・水など具体的なイメージを使って説明する。「生物は円柱形」の章では、指・脚・胴体・首など人間の体、木も円柱の積み重ね、トンボも羽をとれば、とはじめ、なぜそうなのか、と進む。綱胞までがイメージされて実感できる。「生物のデザインを通して、現在の技術のあり方や現代人の生活を考え直してみたい」とある。NHK教育TVでの講義を基にした書。(學鐙、1998年5月)

時間ー生物の視点とヒトの生き方

時間ー生物の視点とヒトの生き方

NHKライブラリー(1996)

ゾウの時間ネズミの時間は、時間に関する部分が話題になりましたが、それは取り上げている話題のごく一部。 この本では、時間に焦点をしぼって、生物学的な時間とはどのようなものなのかを論じています。 社会生活の時間、老いの時間など、生物学から一歩踏み出した問題も論じました。
「エネルギーを使えば使うほど時間が速く進む」「生物の時間とは、エネルギーを使って、自らが創り出すものであり、けっして、ベルトコンベアーに乗っけられて流されていくようなものではない」というのが、私の主張です。生物の時間を通して、これだけ忙しくなった現代をどう生きるか、この長くなった老後をどう生きるかを考えます。現代社会が抱えている大問題に、生物学の視点から切り込んだ意欲作です。
現在、中学の国語の教科書に、本書の一部がとりあげられています。国語教科書採用一覧へ


本書は久しく絶版でしたが、手を入れて「『長生き』が地球を滅ぼす」として、阪急コミュニケーションズから再刊されました。

1.生物の鼓動数や呼吸数を体のサイズと比較すると、なんと単純な数式で表現できてしまう。
2.著者は、東京大学理学部を卒業し、沖縄でサンゴ礁にすむ生物の研究に従事。現在、東京工業大学教授。
3.「動物の時間は体重の4分の1乗に比例」「どの生物も鼓動15億回で寿命がくる」。人聞も例外ではない。
[サービス度]★★★★★
前著『ゾウの時間ネズミの時間』を読まれた方は、本書の調子に意外な感じをもたれるかもしれない。前著か、どちらかといえば科学者のストイックな文章で統一されていたのに、本書は本人自身が「サービス精神にあぶれていますよ」と述べるように、手取り足取り、ていねいな説明を繰り返し、老後について論じ、自作の歌をいくつも披露してしまう(前著は巻末に一つ)。前著が理解できなかった人におすすめ。(The 21、1996年3月特別増刊号)

歌う生物学

歌う生物学

講談社(1993)

この本でやりたかったのは歌物語です。伊勢物語のモダン・バージョン。 ストーリーがあってそれに関する歌がある。 というよりも歌を中心にしてストーリーをつくっていく。 楽譜と話のセットがつづいていくという、画期的な本。
沖縄に赴任して出会った、動物たち、社会習慣に対する新鮮な驚きが、若々しい筆で描かれています。青春ものがたりとしても、面白い読み物だとおもっています。
現在、高校の国語の教科書に、本書の一部がとりあげられています。国語教科書採用一覧へ


別売のテープもつくりました。さすが講談社。専用スタジオがあり、また有能な編集者でかつ有能なエレクトーン奏者がおられ、それなりに聞けるテープに仕上がっています。 (本もテープも絶版)
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ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学

中公新書(講談社出版文化賞)(1992)

とても話題になり、生物学の本としては異例のことですが、よく売れました。体の大きさが変わると生物のいろいろなことが変わるという、サイズの生物学の入門書ですが、 読めば、時間をはじめ、私たちの日常的なものの見方が変わります。現在、高校の国語の教科書に、この中から「なぜ車輪動物がいないのか」「島の規則」などがとりあげられています。入試にもよく出ます。国語教科書採用一覧へ

この本は、私が大学の一般教育で、生物学が専門ではない学生に行っていた講義がもとになっています。将来、生物学とは直接関係ない職業につく人たちに、細かい生物学の事実を教えても意味はありません。よい社会人となるために必要な生物学の知識とはなんだろうか、教養とは何だろうか、と考え考え、行った講義の内容がこれです。サイズの生物学の日本で最初、かつ唯一の入門書でした。
「これだけは読んでおきたい科学の10冊」(岩波ジュニア新書、池内了編)にも選ばれました。この中で、森毅先生が「サイズから発想する新しい生物学」と題して紹介して下さっているのですが、森先生いわく、小生のやり方は「ルネッサンス芸人スタイル」だそうです(光栄にもレオナルド・ダ・ヴィンチをあげてルネッサンス芸人にスタイルについて説明しておられます)。
2010年時点で80万部、中公新書の売り上げ総数、第4位です(1位から3位までは「how to本」)。 理科系の本でこれだけ売れ続けているのですから、大健闘でしょう。
台湾と韓国から翻訳が出ています。

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Biology of Echinodermata

(1991, T. Yanagisawa 他3名と共編著) Balkema, Rotterdam, 590pp.

国際棘皮動物学会議を熱海で開いたときのproceedings

サンゴ礁の生物たち

サンゴ礁の生物たち

中公新書(1985)

地球上で生きものがもっともたくさんいるのが、熱帯雨林とサンゴ礁。 サンゴ礁の生物たちがどんな暮らしをしているかを生き生きと描写したもの。 小生の処女作なので、文章が若くて生きがいい。サンゴ礁生物学の日本で初めての入門書でした。惜しまれながら絶版でしたが、大幅に書き直して「サンゴとサンゴ礁のはなし」(中公新書)として生まれ変わりました。
ダイバーの中村征夫さんが、ご自身のホームページ(ぷかぷか交信)で「とても役に立つ本で、勉強になりました」と書いておられます。

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絵本

生きものいっぱい

生きものいっぱいゆたかなちきゅう

(絵:ワタナベ・ケンイチ)そうえん社

小生のつくった歌、「生きものいっぱいゆたかなちきゅう」が絵本になりました。すぐに台湾で中国語訳も出ました。 (そうえん社のホームページで歌が聴けます)

絵とき生きものは円柱形

絵とき生きものは円柱形

(絵:やまもとちかひと)福音館

NHKライブラリー「生きものは円柱形」の絵本版。3曲歌が入っています。福音館のホームページで歌がきけます。

♪歌をきく♪

チョウやトンボの羽は平たく空気をたくさん押すのに都合がいい。では、私たちのからだは? ゆびは円くて細長い。円柱形だ。脚、胴体も。ミミズ、ネコ、イルカ、動物は円柱形に溢れている。植物は、葉っぱはひらたいが、枝、幹、根っこは円柱形。なぜ生きものに円柱形が多いのか。円柱形は強い形で、生きものは体腔をもち体液が詰ったものだから。球形より、細長いほうが動きやすい。生きものの共通点を考えていく。科学の本質をさぐる楽しさがある。(子供と科学よみもの、2004年11月号)

絵ときゾウの時間とネズミの時間

絵ときゾウの時間とネズミの時間

(絵:あべ弘士)福音館

中公新書「ゾウの時間ネズミの時間」の絵本版。こっちの方が分かりやすいという声が多い(あたりまえですが)。「かがくする心の絵本100」(別冊太陽)にも選ばれました。 あべ弘士さんは旭川の動物園の飼育係をなさっていた方。「あらしのよるに」でよく知られていますが、すごく迫力のある絵を描かれます。ウルフルズのトータス松本氏絶賛!
台湾から翻訳が出ています。

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サンゴしょうの海

サンゴしょうの海

 

(絵:松岡達英)福音館
サンゴ礁の海の美しさと、そこでの共生現象について絵本にしました。私が仕事をしていた、沖縄瀬底(せそこ)島が舞台です。
本書を書き直したものが、現在、小学校の国語の教科書(光村書店)にとりあげられています。国語教科書採用一覧へ


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受験参考書

絵とき生きものは円柱形

チャート式シリーズ 新生物I

(鈴木孝仁と共著)数研出版

ついに受験参考書を書いてしまいました。
私は高校の生物の教科書(文部科学省検定)も書いています。検定教科書というものは、なかなか作るのが難しいものです。指導要領の縛りがあるので、自由には書けません。
内容は指導要領に縛られるのですが、書き方にも制限があるのです。最初は張り切って原稿を書いたのですが、読んでもらった高校の先生方には、さんざんでした。とても分かりやすく書いたのに、「こんなの教科書らしくない、教科書はもっと重々しい文章でなければいけない」とのこと。
いろいろ意見を聞いてわかったことは、教科書は、事実の羅列でなければいけないらしいのです。事実の解説は先生が授業でするものであり、教科書の中でやることはおせっかい。教師の仕事をとってしまうことになります。
つまり、教科書は、黒板に書かれた要点のようなもの。とても大切だけれど、それだけ読んでも分からない。そういうものなのです。
教科書は、売れなければなりません。どの教科書を採用するかを決めるのは生徒ではなく、先生。だから、教科書は先生の顔色を見てつくることになります。
教科書であるかぎり、生徒が読みやすい形にはできない。これは参考書を書くしかないなと思いました。
そこで、楽しく、苦労はあまりせずに勉強できるゲリラ本と、ちゃんと勉強したい子供たちが、読んでわかる詳しい正統的な参考書の、両方を作ろうと決心したのです。
面白ゲリラ本が「歌う生物学 必修編」、そして正当派参考書が本書です。
この2つと検定教科書とで、高校生物3部作。ここまで徹底してやるのが、生徒への親切だと私は思っています。教育には、親切心がなければなりません。
あとで知ったことですが、チャート式生物の最初のもの(戦後すぐのもの)の著者は秋田康一先生と細井輝彦先生でした。秋田先生は一時、私の指導教官でしたし、細井先生は、現在の私のポジションである東工大の生物の教授でした。因縁を感じますし、はからずも伝統を受け継ぐことになり、身の引き締まる思いがします。

絵とき生きものは円柱形

チャート式シリーズ 新生物II

(鈴木孝仁と共著)数研出版

チャート式シリーズ 新生物IIの姉妹書。後見返しに新曲も一曲のっています。


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高校教科書

高等学校 生物 I

高等学校 生物 I

(2003, 太田次郎・本川達雄編)啓林館,248pp.

高等学校の検定教科書。生物は理科の選択科目ですが、まず生物 I を履修し、それから希望者が II をとります。生物 I に関しては、詳しい教科書(本書)と、読みやすい教科書の2種類をつくっています。
啓林館の教科書は、あまりあか抜けしないけれど、しっかりと何でも書いてあり、頼りがいのある教科書だと、定評を得ています。
太田次郎先生(元お茶大学長)と丸山工作先生(元千葉大学長)に誘われて、執筆陣に加えていただきました。

新編高等学校 生物 I

新編高等学校 生物 I 

(2003, 太田次郎・本川達雄編)啓林館,176pp.

生物 I のやさしい方の教科書

高等学校 生物 II

高等学校 生物 II

(2004, 太田次郎・本川達雄編)啓林館,301pp.

高等学校の検定教科書。生物 I を履修した者が、さらにとる科目

高等学校 理科総合B

高等学校 理科総合B

(2003,太田次郎他19名と共著)啓林館, 156pp.

このたびの指導要領改訂で新たにできた科目が理科総合。1年のときに、生物、地学、物理、化学を総合的に勉強させようというもの。理科総合Bは、生物と地学の融合した教科書です。
融合したものは、なんと言っても作るのが難しい。それに全く新しい科目ですから、どんなものにしたら検定を通るか、暗中模索。とても苦労して作りました。おかげさまで好評です。

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翻訳書

図説無脊椎動物学

図説 無脊椎動物学

Barnes, RSK, Calow, P. et al著 朝倉書店(2009)

バーンズ他の "The Invertebrates: a synthesis"の最新版の翻訳を、 小生がまとめ役となってすすめてきましたが、ついに出ました! 少々高い(23100円)ですが、 日本語で読める無脊椎動物学の教科書として、頼りになるものが、やっと登場したことになります。 1冊、こういうものがあるということが、その分野の財産なのですね。
本当は自分で書けばよいのですが、翻訳でもないよりはずっといい。誰かやらないかなあと、ずっーと学生時代から待っていいましたが、 ですが、誰もおやりになりません。だったら私がやらざるを得ないなと、始めたのですが、いやー、疲れた! どのみち翻訳さと、いささかあなどっていましたが、やはりきちっとした仕事をするのは、相当のエネルギーが必要でした。

絵とき生きものは円柱形

生物の形とバイオメカニクス

Stephen A. Wainwright著 東海大学出版会(1989)

デューク大学のウエインライト教授の本。彼の研究室に私がお世話になっていた時に、彼がちょうどこの本を書き進めていました。
朝早く研究室にくるのは彼と私だけ(つまり年寄り)。彼の入れてくれたコーヒーを飲みながら、「今、こんな本を書いているんだよ」と内容を話してくれました。
生物は円柱形をしている、その理由はバイオメカニクスで説明ができる、というのが本書の内容です。
「生物は円柱形」とは、言われてみればその通りですが、なかなか気がつきませんね。
でも、彼からこの話を聞いたとき、どこかで似た話を読んだことがあるな、と思いました。あとで気がついたのですが、セザンヌの手紙の中だったのです(セザンヌは円柱ではなく、球と円錐ですべてを考えるのですが)。
生物は円柱形だと喝破できたのは、ウエインライトは芸術家の目をもっていたからだと思います。彼の趣味は彫刻。彼の兄弟は有名なデザイナーです。
「形」はなかなか科学になりません。定量化するのが困難だからです。ふつうの科学者が避けて通るところに、ウエインライトは科学者と芸術家の両方の目をもって、切り込んでいったのだと思います。とても視野が広く、教わるところの多い人物でした。
彼は数年前に大学を引退しました。そして私費でスタジオを作り、子供たちを集めて、良いデザインのものを作って楽しむという教育プログラムを走らせています。
私はこの本を種本として、「生物は円柱形」を書きました。ただし丸写しというわけではなく、生物は円柱形、なのに人工物は四角ものが多い、それはなぜかと、人工物のことまで踏み込んで考えているところが、小生のオリジナルです。角張った人工物で、丸い自然を切り裂く、これが人間の技術だという、技術批判を「生物は円柱形」の中で展開しています。(絶版)

絵とき生きものは円柱形

サンゴ礁の自然誌

Charles R.C. Sheppard著 平河出版社 (1986)

サンゴ礁全般について、よく目配りの効いた入門書なので、翻訳しました。(絶版)

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単行本の一章を分担執筆したもの

さまざまな神経系をもつ動物たち

(2009,日本比較生理生化学会編)共立出版

「棘皮動物の変わった神経系と運動系」の章を書きました。

夏期大学講座・講義録 禅といま

夏期大学講座・講義録 禅といま

(2001,鎌田他5名と共著)大本山永平寺, 137pp.

2002年は道元禅師(曹洞宗の日本での開祖)が亡くなられて750年の大遠忌(だいおんき)でした。それを記念して、曹洞宗にそれなりに縁のあると思われる「文化人」を永平寺さんが集めて「道元フォーラム」を組織し、一般むけの講演会を行うという企画を立てられました。どういうわけか小生にもお声がかかり、そのメンバーになってしまったのです。
どうしてお声を?と聞いたところ、小生の時間の考え方が、道元禅師のものと通じるところがあるとのこと。
メンバーになると講演しなければなりません。厚い注釈書数冊を脇に置いき、かなり必死になって正法眼蔵(道元さんの主著、眼蔵と略す)を勉強しました。実践も大切と、1週間泊まり込みの坐禅(摂心という)にも何度か通い、棒で叩きにたかかれて皮膚が裂けてケロイドになるくらい坐ってみました。もちろん悟り(見性)は得られませんでしたが。
眼蔵中の「有時」の巻が時間論なのですが、読んでみると、なるほど、小生が生物学の立場からたどり着いた時間の考え方と、道元さんの時間のとらえ方は、似ているような気がするのですね。さすが道元! と唸ってしまいました。
フォーラムでは、道元の時間論を、私の生物学的時間論から読み解いたことを、お話しました。本書はその講演録です。
その際、話の内容をまとめた歌「生命の時間」を作ってもっていき、披露しました。
この講演内容をさらに発展させて単行本にしたのが、「おまけの人生」(阪急コミュニケーションズ)です。

♪「生命の時間」を聞く
 

現代生物科学

現代生物科学

(2000,山田他12名と共著)放送大学教育振興会, 218pp.

放送大学の教科書。私は11回「動物の行動を決めるもの」という回を担当しました。
放送大学の番組は、ただ講師の顔をえんえんと写しているだけなので、カメラマンはじめ、技術の方々の腕の見せ場があまりないのですね。そういう収録ばかりのところに、私が一曲歌ったものですから、カメラ、音声、照明、大道具の方々が、とても張り切って撮影して下さいました。

生命の知恵・ビジネスの知恵

生命の知恵・ビジネスの知恵

(2000,西山他8名と共著)丸善, 270pp.

大日本印刷がスポンサーとなり、井関・西山両氏の企画により、銀座でビジネスマンのために行った連続セミナーの講義録をもとに作った本。生命現象からビジネスに、何かヒントが得られないかというのが趣旨のセミナーだった。

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目で見るものと心で見るもの

目で見るものと心で見るもの

(1999,谷川他29名と共著)草思社, 238pp.

大成建設の雑誌「Taisei Quarterly」のインタビュー記事をまとめたもの。登場するのが、なかなか面白いひとたちです。

〈構造〉としての身体─進化・生理・セックス

〈構造〉としての身体─進化・生理・セックス

(1997,岡田他14名と共著)河出書房新社, 352pp.

日本たばこの雑誌「談」のインタビューをまとめたもの。

現代科学自由自在

現代科学自由自在

(1995,相磯秀夫、尾河洋一編)晶文社, 223pp.

富士ゼロックスの雑誌「グラフィケーション」に連載されていた対談をまとめたもの。
相磯さん曰く:
「歌う生物学者の本川達雄さんも面白い発想をもった方で、もののとらえ方がユニークで、それでいて現実的なんです。なるほどこういうとらえ方もあるのかと感心してしまったわけですが。」(巻末の相磯氏と尾河氏の対談より)

生命現象と物理学

生命現象と物理学

(1994,北原和夫他7名と共著)朝倉書店, 161pp.

川久保達之先生の退官記念シンポジウムでの講演をもとにした本。
上田哲男、松本元、吉川研一、八田一郎、田中豊一、川久保達之という、「曲者」がずらりと並んでいます。
小生は6章「価値・時空・ナマコの皮」

細胞のバイオメカニクス

細胞のバイオメカニクス

(1990, 平本幸男他7名と共著)オーム社,212pp.

小生は5章「結合組織」を担当しています。


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科学論

Sushi science and hamburger science.
(日本の科学はスシ科学、アメリカの科学はハンバーガー科学)

Motokawa, T. Perspect. Biol. Med. 32:489-504. (1989)

私は科学とは文化の一種であり日本の科学と西欧のものとは違う! と主張しています。 どちらがいいとは言えません。こんな違いがあろうとは、欧米人は、まったく思ってもいません。 だから彼らは日本人のやっている科学を高くは、評価しないのです。 言うべきことは言わなければ! と、英語でエッセイを書きました。
これはアメリカの科学哲学の教科書にも、図を含めて引用されていますし、日本に仕事にくる海外の研究者の、まず読むべき文献の一つにあげられています

スシサイエンスを読む(英文)

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