第10回アジアゾウ飼育・健康管理研修2013について
この研修会はタイで行われていた人工授精のための精子採取、ドイツチームの人工授精成功など動物園に於けるアジアゾウの飼育に大きな流れが出来ていることを知り、日本でのアジアゾウ飼育は120年の歴史がありながら繁殖が見られないことを見直す必要があると考え、チェンマイ大学獣医学部と相談し全面協力の基、野生生物保全繁殖専門家グループ日本委員会(CBSG Japan)とアジア産野生生物研究センター(AWRC)で共催し、日本動物園水族館協会、エレファント・トーク等の後援・協力を得て平成15(2003)年から10年10回を目標に開始しました。
ついに今回で10年の最終回を終えました。
振り返ると参加者累計219名となり、日本の動物園界でもアジアゾウに対する飼育法等にも新しい試みを入れるなど、これまで見られなかった繁殖も見られる様になり、この研修が僅かでも良い影響を与えられたのではないかと考えております。
これまで、この研修を盛り上げてくださった多くの参加者の方々、そしてご協力いただいたチェンマイ大学獣医学部ほか関係機関の皆様にスタッフ一同深く感謝いたします。
最終回報告
研修期間:平成25(2013)年3月4日~7日
参加人数:29名
3月3日札幌組、成田組、名古屋組、福岡組、ジャカルタ組と4空港からバンコク経由チェンマイ空港に集合しました。
第一日(3月4日)
セレモニー後チェンマイ大学獣医学部にて「ゾウ学」の講義をうける。
授業内容は次の通り
①日本に於けるゾウの歴史と現状。②生物学的概論。③基礎解剖・生理学。④管理原則
⑤栄養と給餌。⑦保育学。⑧基礎薬理学。⑨一般的な病気。⑩検査のための資料収集
⑪化学的不動化。⑫産科学
第二日(3月5日)
タイ国立ゾウ保護センターの病院で実習。
保護センターの意義、仕事内容の説明を受け、実習に移る。
5班に分かれ各班に与えられたゾウの個体情報の確認、外貌、各部位の状況、体温、脈拍等を基に健康診断をし、その結果を全員に発表。
午後からは入院中のゾウの治療、尿による発情診断試験、超音波診断、精液採取などを体験した。
第三日(3月6日)
タイ最大のゾウキャンプ(メイサゾウキャンプ)見学。
伐採禁止による使役ゾウの失業に伴い伐採解除になるまでのゾウ生き残り作戦の一家としての観光事業進出等使役ゾウの現状を学んだ。
夜は研修終了式、参加者全員に獣医学部長から修了書の授与があり、チェンマイ大学の学生達も加わりFarewell Partyが開かれた。
第四日(3月7日)
国立チェンマイ動物園を見学、ここは地形を崩さない展示形態を取り、タイ原産の両生爬虫類の保護そしてジャイアントパンダの繁殖実績のある動物園です。
見送りの先生野学生の皆さんとの別れを惜しみながらチェンマイ空港を後にし、バンコク空港で各組それぞれ別れ帰国しました。
第9回アジアゾウ飼育・健康管理研修を実施しました。
例年タイのチェンマイ大学の全面協力の下、NPO法人アジア産野生生物研究センター(AWRC)との共催、(社)日本動物園水族館協会後援で動物園職員や獣医師、動物に関連した大学や専門学校の学生等を対象に「アジアゾウ飼育・健康管理研修」を行っており、今回で参加者の合計は通算190名となりました。
今年(第9回)も次の通り有意義に終了しました。
1. 実施日:平成24年2月27日から3月2日(3日帰国)まで
2. 参加者:18名(動物園関係9名(インドネシアからの参加3名を含む、学生9名)
3. 場 所:タイ王国 チェンマイ市 (国立チェンマイ大学獣医学部、
国立ゾウ保護センター、メイサゾウキャンプ、国立チェンマイ動物園
4. 内 容:第一日、チェンマイ大学獣医学部講義室にて、
一限目:日本におけるゾウ史、二限目:基礎解剖・生理・繁殖学、
三限目:管理原則、
四限目:栄養と給餌、
五限目:健康管理
六限目:病気・治療
第二日、ランパンのTECC(タイゾウ保護センター)にて実習
第三日、メイサゾウキャンプにて講義並びに体験ライド
終了式:チェンマイ大学獣医学部長による当研修修了証書授与
今回担当のチェンマイ大学講師陣・学生との懇親会
第四日、チェンマイ動物園にて講義(パンダの人工繁殖)並びに見学
5. まとめ:チェンマイ大学獣医学部で講義だけではなく、実際にゾウの生体を使っての健康診断法、入院中のゾウへの治療、麻酔実験、精子採取など実習に関して日本では体験できないことができ、大学から研修終了証が手渡され、ゾウを通してアジアの家畜歴史を知り、これまでとは違うゾウに対する接し方などを勉強しました。
タイでの洪水による動物救出支援
今年(2011年)のモンスーン期にタイを襲った豪雨によりメコン川・チャオプラヤー川流域に大きな被害が出、11月に入りバンコク都内が冠水し、ワニや毒蛇が流され市民に危険が及ぶ2次災害がでるとテレビ・新聞で報道されたことから、急遽現地に問い合わせたところ、人命にも関わることなので懸命に活動しており、予想以上の数で麻酔薬の在庫も少なくなってきたので支援して欲しいと要請を受けました。
会員ほか多くの方々に働きかけ、僅かの期間(2週間)にもかかわらず102,800円が集まり、11月30日にタイ動物園機構(The Zoological Park Organization under the Royal Patronage of His Majesty the King =タイ政府天然資源省管轄公社)に渡すことが出来ました。
活動結果としては、毒蛇は全頭保護できたのですがワニは2頭のみで、報告を受けて現場に向かっても既に死んでいることが多かったが、それでも多くの動物が救出でき、皆様に感謝するとのことでした。
「両生類の箱舟A-Ark日本ワークショップin広島・A-Ark種選定検討会議」
2011年1月20・21・22日の3日間、広島市安佐動物公園にて CBSG/A-Ark、CBSG Japan、JAZAおよび(財)広島市動植物園・公園協会(広島市安佐動物公園)の主催により、日本産両生類の域外保全について、その必要性を検討し、緊急度を諮ってランク付けをし、具体的な域外保全計画への適切な助言を与えるため「両生類の箱舟A-Ark日本ワークショップin広島・A-Ark種選定検討会議」を開催した。
会議内容:
日本産両生類全種(有尾目24種と無尾目38種)について、A-Ark方式のワークショップアセスメント項目の要約に基づき、その域内域外保全の優先度とA-Ark種保全上のカテゴリーを選定すること(セクション1)と、具体的な域外保全計画についてその適性を検討する(セクション2・3)ことを目的としています。
セクション1は種の評価で、Kevinたちの助言を受けながら検討委員全員で、種ごとにアセスメントの質問を埋めてスコア計を算出し、保全上の優先度と保全役割カテゴリーを選定し、無尾目、有尾目の絶滅危惧種を検討した。
セクション2は、域外保全計画の承認と創始個体の収集に関するアセスメントの検討をし、JAZAの種保存対象種5種(オオサンショウウオ、ホクリクサンショウウオ、ハクバサンショウウオ、イボイモリ、イシカワガエル)の繁殖計画と、JAZA各園館が独自に取り組んでいる種あるいは取り組みたい種について提案。
セクション3は、具体的な域外保全計画の実施に関する件で、安佐動物公園のオオサンショウウオの域外保全計画とナゴヤダルマガエルの域外保全計画を事例としてあげて検討した。
アセスメントの結果は、日本産両生類のすべての種が域内保全種となり、また環境省が指定するほとんどの絶滅危惧種が域外研究種となった。この結果の活かし方につき引き続き検討していきたいと考えている。
CBSG Japanは1997年2月に創立し、15年を経過した。
この間独自の研究会等行事ならびにCBSG本部の協力を得ながらCAMPやPHVAなど活動してきたが、今後一層の発展を期するためCBSG Japanの機構を見直す作業を開始した。
規約等の改正に当たり、各地域グループでの規約等があれば是非見せていただき、互いに地域グループのつながりを大切にCBSGの発展に協力していきたいと考えている。
過去の記事など、ただいま編集作業中です。