研究 「600万ドルの男」

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Jackの「ネタばれ!エピソード解説」編

【第11回】 「SOS!宇宙船救出作戦」
リー・メジャースの当時の妻ファラ・フォーセットを初めてゲストに迎え、宇宙船「アテナ・ワン」の乗組員を救うべく宇宙へと赴くスティーブの活躍を描く。本来は、スティーブは宇宙飛行士だから宇宙はスティーブの得意とする空間なのであるが、ここでとんでもないバイオニックの欠陥が露呈することとなり、スティーブは危機に陥ってしまうことになる。この欠点により自分の拠り所の「宇宙」という居場所を一瞬断たれるスティーブをみていると、スティーブ・ファンとしては彼にちょっと同情してしまうエピソード。尚、ファラ演じるケリー・ウッド少佐は、日本未公開の第62話で再登場しています。

<ストーリーの流れ>
後日UP予定

<あらすじ>(ネタバレ注意!)
スティーブは、宇宙船「アテナ・ワン」の操縦士に選ばれたケリー少佐の教官として少佐の操縦訓練の任務についていた。しかし、これまで6時間に渡るぶっ通しの訓練を行ってもケリー少佐は手動操縦の模擬飛行で何度も失敗してしまう。このままでは、操縦を任せるのは無理と考えたスティーブは、教官の任務を降りたいと珍しくゴールドマン部長に懇願するが、部長はスティーブが「アテナ・ワン」の地上操縦主任に任命されている上に、ケリー少佐がアメリカ人初の女性宇宙飛行士である点、資源探索に期待が持たれている点などから世間の注目度が高いと判断。スティーブに任務を投げ出すことは出来ないと諭した。スティーブは渋々教官を続けることに同意する。
「アテナ・ワン」の打ち上げ直前、スティーブとケリー少佐はabcテレビに出演。その抱負を語った。ケリー少佐は、女性だけの宇宙飛行の夢を語り、女性の宇宙進出をアピールするが、スティーブは、女性の進出には同意するものの宇宙飛行は危険な仕事であり、宇宙飛行士は飛ぶ度に危険を認識していなければならない。事故は起こしたくないし、また特に女性を巻き込みたくはないと暗にケリー少佐の操縦に苦言を呈す。司会者が「宇宙飛行士は事故の可能性を通常は口にしないものだが」とケリー少佐に水を向けるが彼女は「事故の可能性は否定できない。」とスティーブに同意した。
撮影終了後、スタジオを歩いていた2人に頭上からライトが落下。スティーブはケリー少佐を突き飛ばし、バイオニックの右腕でライトを受け止めた。それを目撃したケリー少佐はスティーブに何故あのようなことが出来るのか尋ねる。スティーブは、最初は答えをはぐらかしたものの、誤魔化す事ができないと知るやテスト飛行時の事故によって自分がバイオニックになったことを告白してしまう。
発射当日、「アテナ・ワン」は予定通り打ち上げられた。ところが、宇宙空間で「アテナ・ワン」は小爆発事故を起こし、副操縦士のオスタマンが破片で負傷してしまう。NASA(ヒューストン)は、「アテナ・ワン」が航行可能なことから、衛星「スカイ・ラブ」を宇宙ステーションにして「アテナ・ワン」とドッキングさせ、別の宇宙船に医師を乗せて「スカイ・ラブ」に向かわせることでケリーとオスタマンを救出する計画を立てる。
「アテナ・ワン」はケリー少佐の操縦で「スカイ・ラブ」とドッキングすることに成功するが、ハッチが壊れて「スカイ・ラブ」の内部に入れない。スティーブは、自分が別の宇宙船を操縦し、医師とともに「スカイ・ラブ」へ向かうことを決意。ケリー少佐に自分が救出に行くまで待てと伝える。
スティーブの操縦で「アテナ・レスキュー」が打ち上げられた。スティーブにとっては、1972年1月以来の宇宙飛行だが感慨に浸る余裕はない。見事に「スカイ・ラブ」とドッキングし、「アテナ・ワン」のハッチをバイオニック・パワーでこじ開けたスティーブは全員を「スカイ・ラブ」へ集結させることに成功する。
オスタマンの手術の準備にかかるウルフ医師だが、電力が足りない。太陽電池盤が壊れていることを知ったスティーブは、宇宙空間に出て太陽電池盤をバイオニック・パワーを使って修理するが、このとき異変が起こり始めた。スティーブの左眼の電子アイが鈍り出し、焦点が合わなくなったのだった。
「スカイ・ラブ」に戻ったスティーブは、オスタマンの状態をヒューストンに報告し、手術に立ち会うが左眼に加え、右腕と両足に震えが生じ、バイオニック組織全体が徐々に弱り始めていることに気づく。手術が終わり全員が寝静まってもスティーブは眠れずにいた。ケリー少佐が気づきスティーブに話しかけた。バイオニックの自分の症状は君には治せないと言い張るスティーブだが、ケリー少佐に太陽電池盤を直した時の宇宙遊泳時に浴びた放射能が原因ではと指摘され、バイオニックが宇宙空間で適応できないことを改めて認識する。しかし、スティーブは、自分の体が動く内に「アテナ・ワン」の被害状況を知りたいと止めるケリー少佐を一喝して再び船外活動に出てしまった。
「アテナ・ワン」の被害をなんとか目視したスティーブだが、無理を押したため、血圧、心拍数が上昇してしまう。ゴールドマン部長は心配して声をかけるが、スティーブは、目視した限り「アテナ・ワン」の被害は甚大で断熱材が剥がれているため帰還には使用できない。「アテナ・レスキュー」へ必要物資を移し帰還を早めるのがよいと提案した。ヒューストンは、帰還プログラムがすぐには作成できないと色よい返事をしなかったが、スティーブは、オスタマンを早急に病院に運ぶ必要があること、予備の打ち上げロケットがないことを理由に手動操縦で明日帰還すると押し切った。
その後、スティーブは残るバイオニック・パワーを振り絞って「アテナ・ワン」の機材を「アテナ・レスキュー」へと移設した。さらに、バイオニック組織が弱っているスティーブは自分が操縦すると右手が震えてしまい全員を帰還させることができないと判断。手動操縦をケリー少佐に任せることにし、ケリー少佐を説得する。
ケリー少佐はスティーブのアシストで手動で大気圏へ突入。約3分の通信不能時間にNASAの全員が沈黙するが「アテナ・レスキュー」の帰還は無事成功し、全員は拍手で喜びを分かち合った。
帰還したスティーブは、NASAの一室で杖を手に座り、目の前の大きな地球儀を眺めていた。そこへゴールドマン部長がやってくる。スティーブにコロラド行きの飛行機が到着したことを告げに来たのだった。2週間で元通りの体になると伝えられたスティーブだが、宇宙空間での活動はもはや自分の体ではできないと悟っていた。「宇宙の美しさを忘れなくてはならないが、なかなか忘れられない。何故なら人類最後のフロンティアだから。」と言うスティーブにゴールドマン部長は、Dr.ルディがバイオニックの皮膚組織に放射能を防ぐ機能をつけてくれるので、「君が宇宙へ行きたいと思うのならいつでもいける。」と応えてくれた。
ケリー少佐が入ってきて、ヒューストンに戻ってきたら食事に誘うと言う。「どこのレストラン?」と聞くスティーブに、「自分の手作り」と答えるケリー少佐。「あの操縦の腕前なら料理もさぞかしおいしいだろう」とユーモアを交えながら杖をつきコロラド行きの飛行機へ歩いていくスティーブの姿があった。

<バイオニックシーン>
・後日記載予定

<ポイント・情報>
・バイオニックの欠点
宇宙空間において多量の放射線を浴びるとバイオニック装置が誤作動してしまい、宇宙空間ではパワーが人より弱くなってしまいます。尚、放射線によるバイオニック装置の誤作動による欠点は第44話へリンクします。
・スティーブの宇宙飛行
1972年1月以来と報道されています。ということは、スティーブをバイオニックにしたあの忌まわしい事故はその後ということになりますね。SMDMの放映が1973年に始まっていますので、スティーブがバイオニックになるきっかけの事故はこの辺りに発生したということでしょう。
・abcスタジオ
ケリー少佐とスティーブがインタビューを受けたのはabcテレビのスタジオです。ABC TVで放送されているので当然と言えば当然ですが、こんなところでabcをアピールしているんですね。
・ラストシーン
個人的には、なかなか感慨深いんですけど。スティーブは元々宇宙飛行士が職業ですから、宇宙へ飛ぶことに生きがいを感じていたわけなのですが、それが今回の事件でバイオニック組織が宇宙へ行くと弱ってしまうということが露呈し、バイオニックの自分の体からして、2度と宇宙へは飛び立てないと悟ってしまいます。いわば、羽根をもがれた鳥状態。悲しみは表情に出しませんが、言葉の端々に無念さが覗きます。ということで、この時の心情を思うと察するに余りあるところなのですが、ここでゴールドマン部長が粋な計らいをしてくれるんですよね。スティーブのバイオニックの皮膚に放射能を防ぐ機能をつけるからいつでも宇宙へはいけるんだと珍しく勇気づけてくれています。そして、とうとう日本未公開の第5シーズンで再び月へ行くことになるわけです。
・「宇宙。それは人類最後のフロンティア」って...
スティーブに言わせていますが、この言葉って「スタートレック宇宙大作戦」の冒頭にありませんでした?またリンクしているんですね。(詳しくは、研究結果参照のこと)
・英語版のカットシーンから
そのうち未公開シーンに載せますが、なかなか捨てがたいカットシーンがあります。それは、スティーブが「アテナ・レスキュー」に乗る前にまずゴールドマン部長からバイオニックの秘密がバレるとダメ出しを食らうんですけど、スティーブはケリーの命を救うのが先決だといつものように押し切って宇宙へ飛び出してしまいます。そして、バイオニック組織に異常をきたすわけなんですが、この異常をゴールドマン部長になんとか伝えようとNASAのスタッフのいる前で野球の話を切り出すんですね。内容は、まず、スティーブがゴールドマン部長を呼んで、「Dr.ルディに伝えたいことがある。ちょっとした機能のことなんだけど、去年のカリフォルニアの問題に似ているんだ。」って切り出します。部長が「投げられないってことかい?」と聞くと「そう。腕と足が良ければメキシカンリーグでプレーしたいよ。」って答えるスティーブ。ゴールドマン部長はスティーブの腕と足に異常があったことを暗に理解します。スタッフはゴールドマン部長の表情が青ざめているのを見て「ちょっとした機能って何だ?」と聞くと、スティーブは「気にするな。部長と私は昔の話をしているだけだよ。」といって話をそらします。しかし部長が「こちらからできることは?」と聞くと、「大投手は失ったけど、まだリリーフがいる。」といってケリー少佐に操縦を任せることを伝えました。いずれも部長とスティーブの間でわかる隠語が使われているわけです。しかし、カリフォルニアの問題って何?スティーブのあの事故のことを言っているんでしょうか?
・喜怒哀楽
最初のケリーを叱りつけるシーンに始まり、ケリーと一緒に出演したABCテレビのスタジオのドアを豪快に開けたりというオチャメなシーンあり、さらにバイオニックのパワーに異常が生じてピンチになってハラハラドキドキ、そしてそれがスティーブの宇宙飛行士としての仕事を奪い、さらに最後は追い討ちかと思いきや、ゴールドマン部長の発言でホッと胸をなでおろすといった具合に、スティーブも視聴者もなかなか激しい心の動きがあるストーリーでした。
・ジェリー・ジェームソン監督の「SFスターフライトI」で悪夢再び... 
宇宙空間を舞台にしたリー・メジャースの主演パニック映画「SFスターフライトI」で再度このコンビは宇宙空間での事故を題材にしたパニックものに挑戦していますが、何だかストーリーに似た点がいくつかありますね。例えば、宇宙船の名前が「アテナワン」に「スターフライトワン」。宇宙空間に出てしまい機体に傷がついてしまう点。救出シャトルを打ち上げるところとか、最後手動操縦に頼るところ、また大気圏突入後に3分の通信不能時間があってミッションコントロールセンターの全員がやきもきするところなど。さらに、リー・メジャース演じる主人公はどちらの場合もコックピットにいましたね。

<疑問やエラー>
・放射線の量
英語版サイトのFAQには、スティーブも他の人と同じく宇宙服を着ているわけだから、人間に害を及ぼすような量の放射線は浴びないはずとあり、このエピソードの根幹が崩れるとあります。
・宇宙空間
表現は難しそうですね。手すりにつかまったりゆっくり移動したりといろいろと工夫をしているんですが、やっぱりそこかしこに重力があるってことがバレバレの撮影なのでした。そりゃ〜、「2001年宇宙への旅」みたいに精巧には作れませんよね。


注:エピソード番号、題記などは、講談社「Film Fantastic 6」より引用している。

*無断転載を禁じます。本内容はあくまで個人的研究結果である為、誤りがある場合があります。
*「600万ドルの男」の画像の著作権は、Universal Studios社にあります。また、その他の引用物の著作権は各社、作者にあります。

           

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