研究 「600万ドルの男」

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オープニング分析編(敬称略)

日米のオープニングを徹底比較!
 

日本語 原版(英語)
スティーブ
(広川太一郎): 
...よりL1へ。 Flight Com: It looks good at NASA One.
管制官:  了解。 B-52 Pilot: Roger.
スティーブ
(広川太一郎):
EPSスイッチオン! B-52 Pilot: BCS Arm switch is on.
管制官: よし。 Flight Com: Okay, Victor.
スティーブ
(広川太一郎):
ロケット推力装置スイッチオン! B-52 Pilot: Lining Rocket Arm switch is on.
管制官: よし。スタート。 B-52 Pilot: Here comes the throttle.
    B-52 Pilot: Circuit breakers in.
スティーブ
(広川太一郎):
今、分離した。 Steve
(Lee Majors):
We have separation.
管制官: 了解。 SR-71 Chase
Plane Pilot:
Roger.
スティーブ
(広川太一郎):
機内、機外とも異常なし。
現在、順調に飛行中。
B-52 Pilot: Inboard and outboards are on.
管制官: OK。テスト開始。 B-52 Pilot: I'm comin' forward with the side stick.
    Flight Com: Looks good.
    B-52 Pilot Ah, Roger.
スティーブ
(広川太一郎):
故障だ! Steve
(Lee Majors):
I've got a blow-out in damper three!
管制官: メモリをゼロに。 SR-71 Chase
Plane Pilot:
Get your pitch to zero.
スティーブ
(広川太一郎):
高度を維持できない! Steve
(Lee Majors):
Pitch is out! I can't hold altitude!
管制官: エマージェンシースイッチはどうした!
救助装置は作動しないか!
B-52 Pilot: Correction, Alpha Hold is off . . .
Turn selectors . . . Emergency!
スティーブ
(広川太一郎):
もうコントロールできない!
ぶつかるぞ〜!
Steve
(Lee Majors):
Flight Com! I can't hold it!
She's breaking up, she's break--
<以下ナレーション> <以下ナレーション>
ナレーション
(浦野光):
スティーブ・オースチン。宇宙飛行士。
命だけは取り留めた男。
Narrator
(Harve Bennett):
Steve Austin. Astronaut.
A man barely alive.
ナレーション
(浦野光):
右腕、両足を切断。片目を失う。
だが、NASAのメディカル・スタッフによって人体改造手術。
サイボーグとなる。その費用600万ドル。
左目はテレスコープ。
右腕は銃を曲げ、コンクリートを砕くアトミックパワー。
そして、時速100kmで突っ走る。
超能力(600万ドル)の男。サイボーグ。
Narrator
(Oscar Goldman
こと
Richard Anderson):
Gentlemen, we can rebuild him.
We have the technology.
We have the capability to make
the world's first Bionic man.
Steve Austin will be that man.
Better than he was before.
Better . . . stronger . . . faster.


第1話を見た人でないと、英語版のオープニングはまず理解できません。実は、スティーブが事故にあったHL-10(M3-F5)は、ムーンランディングクラフト機と言ってスペースシャトルの前身のような機体なんですね。でもって、B-52の翼につけて分離したところから実験(すべて)が始まるのです。よって、スティーブが通信しているのは、このHL-10を搭載した親機であるB-52のパイロットとテストの一部始終を見守って併走する(撮影も含めて?)SR-71機、そして管制官の3名になるわけなのです。だから、スティーブ(リー・メジャース)のオープニングのセリフは英語版では3箇所しかないのです。
日本語版は、パイロット版が別枠での放送でしたし、墜落するテスト機の背景というものか視聴者にはまったくもってわかりにくいということもあってなのか、管制官とスティーブの2人だけの会話に変更されています。(この日本語版オープニングが翻訳者や演出家の手によるものなのか、例によってスティーブ役の吹替えを担当された広川太一郎さんをはじめとする声優陣らのアドリブ的な演出手法によって生みだされたものなのかは今となっては知ることはできませんが...。)日本語版には何かと謎が多いのが「600万ドルの男」。しかも、日本語版はいきなり冒頭のシーンの音声がいきなり不明瞭だし、アームスイッチの名称も違ってるみたいだしといろいろと不満はあるんです。しかしながら、日本語版スティーブの「もうコントロールできない...。ぶつかるぞ〜!」というあの緊迫感に満ちた叫び声(すなわち、ここは、さすが広川さんと言うべきところなのでしょうか?)は、原版の英語版のオープニングをも圧倒する迫力があります。

ナレーションに関して言えば、出だしは日米とも同じ意味ですね。
ただし、2行目からがちょっと違います。日本語はスティーブが右腕、両足、片目を失ったと詳しく説明してNASA(宇宙飛行士つながりで想像がたやすい)によってサイボーグとなったこと。そして費用が600万ドルであったこと(つまり後期の題名チェンジでインパクトを与える内容)を説明しています。でもって、左目、右腕、両足の超能力を強調。映像で流れる手術シーンとあいまってすごいなぁという感じが出ていますね。
英語版は、説明より視覚効果という感じです。NASAの改造手術シーンをバックにハーブ・ベネットが静かに語りかけます。皆さん、彼をリビルド(再構築)します。我々は技術を持ってます。世界で始めてのバイオニックマンを作る能力を持っています。スティーブ・オースチンがそうなるでしょう。前よりも能力が高くなるはず。(視力が)よくなるし、強くなるし、速く走れるようになるはずです。
(2005年のIBMのCMは、このBetterをもじっているのか?と密かに思っているJackです。)
日本語は、説明を多めにバイオニックの性能をオープニングで細かく伝えることでこの後の本編でスティーブがどうその性能を使うのかとワクワクさせますよね。英語は逆に視覚効果を強調してスティーブの手術シーンを見せてここがバイオニックでこうなんだと訴えかけてくる気がします。
さらに、英語版はナレーションのパートが分かれているところがまた細かい。
同じ映像で、同じ内容のことを結果的には言っているんですが、冒頭の墜落シーンは、映像が主体で迫力のある演出を試みている日本版に対し、英語版は事実関係を着々と語っているんですが、ナレーションは説明主体の日本と映像主体のアメリカと言うように演出が逆転しています。

それぞれ個性があっていいなぁというのがJackの個人的な結論です。

そうそう。書き忘れました。実は、「600万ドルの男」。意外に知られていない裏オープニングというかが存在します。そうです。日本語版第3話のオープニングです。ということで、「第3話オープニング分析編」はこちら

(JackFALLGUY編纂)

注:エピソード番号、題記などは、講談社「Film Fantastic 6」より引用している。

*無断転載を禁じます。本内容はあくまで個人的研究結果である為、誤りがある場合があります。
*「600万ドルの男」の画像の著作権は、Universal Studios社にあります。また、その他の引用物の著作権は各社、作者にあります。

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