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Jackの「とっておき!研究結果」編
13. カメラワーク解説(第14話)
Jackの個人的考えですが、「600万ドルの男」の素晴らしい点は次のような要素にあると思っています。
ということで、今回は試験的に、「7」のカメラワークについて特に第14話「イルカとの対話」を分析してみたいと思います。
(「イルカとの対話」は、クレーン多用な回なので取り上げてみました。 )
まず、最初にジョッシュと水族館に行って外に出た後、2人で話をしてるシーン。 ここで、カメラがクレーンアップして周りの景色が見えてクレーンダウンする。この撮り方にジョッシュの異常さがよく出てるんですねぇ。 それと、ジョッシュとスティーブを一緒に映すときにわざとスティーブに必ず1歩下がらせて映しているんですが、これも映し方の特徴で、これでジョッシュの方が大きく映る。これがまたスティーブより主導権を握っているというかバイオニックのスティーブより強いぞというかまた異常な印象を与えている。 究めつけは、ラスト近くのジョッシュの遺体を抱いたスティーブがパトカーを無視して行ってしまうシーン。 これがまたクレーンショットなんですね。 具体的に言うと、パン(平行移動)してパトカーからスティーブを映す。そして、遠くからスティーブが歩いてくる。ここで、広角レンズを使ってものすごく遠い印象を与えておいて、カット変わって下からスティーブを映す。この角度が最高なんですね。下から映すというのは、効果として人物を偉大に見せることになる。こう無表情のきりっとしたスティーブが映って、ジョッシュを助けられなかった悔しさというか、ものすごいやりきれなさが強調されていて、それなのに現実のパトカーとの距離は遠い。で、カメラがゆっくりとズームしていって、やっとパトカーにスティーブが近づいたんだと思ったら、そのままカメラのフォーカスから右にはずれるスティーブ。 このカメラの視野からわざとはずれる撮り方がすごい。 つまりカメラの位置はパトカーというか我々なわけで、そこをあの表情のまま通り過ぎる。止まるんだと思ってた我々観客はハッとなるわけで。スティーブがパトカーで止まらないで素通りってところが強調される。 現実から離れたいというか、パトカーなんて関係ないんだというか、こう同僚のジョッシュを救えなかったことに悲しみにくれるスティーブの雰囲気がすごくよく出ているんですね。 ところが案の定というか、さらにここからカメラはカットを変えて裏返って遠くへ去っていくスティーブを映し出す。 ここで、カメラがさりげなくクレーンアップしていって俯瞰ショットの上に印象を強く残すストップモーション。 ストップモーションっていうのは、「明日に向かって撃て」にもあるのですが、余韻が残るというか。ここからもう時が進んで欲しくないという気持ちを与えるので、ものすごく鮮烈に残るシーンに仕上がっています。 そしてラストシーン。スティーブとはなじみの深い満月が出てきますが、このカットのあと、スティーブが「bye. Josh.」と空に向かってジョッシュに別れを告げる。 カットが変わり、またまたエンディングのクレーンアップの俯瞰ショットへ。まるで神の領域からというか月がこうスティーブをなぐさめてるというか、なんとなく印象に残る悲しさで余韻を残した終わり方になっているわけです。 すごくオーソドックスな撮り方ではあるのですが、印象に残る映像だなぁと思っていたら、Enzo A. Martinelliという人が映像監督をやっているらしく、違う作品ですがエミー賞とってるんですね。 さらに、この人は「600万ドルの男」では、あの「Deadly Replay(運命のテスト飛行)」も撮っています。 ストーリーはちょっと悲しすぎて私はあまり好きではないのですが、カメラワークは最高でした。
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