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茂七の事件簿・ふしぎ草子

高橋英樹久々の時代劇、お楽しみいただけたでしょうか。
時代は江戸、本所相生町(ほんじょあいおいちょう)に住む回向院(えこういん)茂七(もしち)は、お上から十手を預かり、手下の糸吉、権三と共にさまざまな事件に立ち向かっていくというものですが、今までの白刃をふるって悪人をなぎたおすサムライ高橋英樹とはちょっと違う、人とのふれあいを中心とした、しっとりとした主人公をめざしました。
おかげさまで、この茂七の事件簿も、無事十回の放映を終了することができました。
ご愛顧、ほんとうにありがとうございました。



回向院って、どんなところ?

茂七親分が住んでいるところは、回向院裏となっていますが、この回向院は、現在でも訪れることが出来ます。
JRの両国駅を降りて南へ5分程度歩くと、立派な門が見えてきます。回向院の西には隅田川(昔は大川とも呼ばれていました)が流れており、ビルが多くなってもまだ江戸情緒が残っているところです。この回向院、江戸に日本の中心が移ってからしばらくたった明暦三年(1657)に起こった明暦の大火(別名:振袖火事)のときに亡くなった十万八千余人を弔うために建立されたもので、あの鼠小僧次郎吉のお墓もここにあります。
回向院の裏のほうには、大きなビルもなく民家が並んでいて、なんとなくブラブラと歩きたくなります。
また、両国駅の反対側には、有名な江戸東京博物館もありますから、休日の散歩にもお薦めのところですよ。



茂七親分の耳かき

江戸時代の岡っ引きは、専業では暮らしていけなかったので、色々と副業を持っていたといわれています。茂七親分の場合は、おなじみ「耳かき作り」でした。この耳かきは中々評判が良いらしいのですが、「良い耳かき」ってどんなものだったの?という疑問に答えてくれたのが、耳かき作りを指導してくださった馬木健一(うまきけんいち)さんの耳かきです。なんと耳かきを作って28年という達人の作品は、何の変哲も無いものに見えますが、使ってみてびっくり!。耳かきを通じて耳の中がわかるような手ごたえが感動的な逸品でした。
茂七親分が作っているのもこの品質だとすれば、人気が出るのも納得できますね。




第一話:置いてけ堀

裏長屋に住む魚屋の庄太が何者かに殺された。悲嘆に暮れる妻のおしずを元気づける茂七だが、下手人がはっきりしない...。同じ頃、常磐津の師匠、富士春が喉を痛めた。富士春は、これは病気ではない。常磐津を習いに来ている川越屋の主人と富士春の仲を勘ぐった川越屋の女房が、富士春の家の飲み水に毒を入れたからだというのだ。
もしかしたら、庄太の死に何かの因縁があるのではないか?
茂七の推理が始まる...。
それからしばらくして、庄太が死んでいた大川から、ふしぎな声が聞こえてきた..「おいてけ〜...」。



第二話:鰹千両

江戸っ子と言えば「初もの」が大好き。その中でも特に有名なのが「初鰹」だ。
茂七親分の家にも、もらいものだが、初鰹が一本届いた。
「だた包丁入れればいいってもんじゃねぇ」などと啖呵を切って自分でさばこうとした親分だが、あまりの大きさにもてあまし気味。
そのとき、知り合いの魚屋角次郎が尋ねてきたのでかわりにさばいてもらい、大助かりの茂七だったが、実は角次郎には重大な相談事があった。
日本橋の上州屋が長屋に尋ねてきて、鰹一匹を千両で買おうと言ったのだった。
相場は上物でも二〜三両なのに、馴染みでもない棒手振りの魚屋に千両を出す。
この時代では、一両あれば大人ひとりが一年間暮らしていけるというからとんでもない大金だ。金持ちの気まぐれなのか、それとも...?


第三話:お勢殺し

暑さも盛りとなった江戸のお盆の頃、茂七親分は相変わらず耳かきを作っている。
最近では評判も徐々に上がってきたのだが、本業の十手は待ったなしである。薮入りの喧騒とともに事件が舞い込んだ。
身投げの仏が出たという。徳兵衛店(とくべえだな)に住む醤油の担ぎ売りで「お勢」という女だ。
最近は特に変わったこともなかったというが、調べていくうちに、お勢の恋人という野崎屋の手代「音次郎」の態度がおかしい。茂七は音次郎が下手人ではないかとにらんだが、アリバイが崩れない。
悩む茂七の足は、いつもの稲荷鮨屋に向かっていた...。


第四話:送り提灯

大店への押し込み強盗が続発し、茂七たちは密かに探索を続けていた。そんなある日の真夜中、茂七たちは、大野屋の小女・おりんが回向院に通う姿を目にする。不思議に思った茂七は、おりんの様子を見張ることに。実はおりんは、大野屋の娘。お雪から、恋人の孝太郎との縁結びの願掛けのために、毎晩、小石を拾ってくるように命じられていた。そんなおりんに、毎晩、影のようについてくる「送り提灯」が……。その提灯の主は糸吉で、糸吉は自分と同じ天涯孤独の身の上のおりんを気遣うようになる。
調べを進めるうちに、茂七たちは孝太郎に疑いの目を向ける。そんな中突然、孝太郎が長屋を引き払う。そして、その日の夜中、おりんがいつものように店を出た後に、事態は急展開を見せる……。


第五話:足洗い屋敷

春田屋の後妻・お里は毎晩、悪夢にうなされていた。先妻の娘・みよは優しい継母が苦しんでいるのが心配でたまらない。父親の長兵衛によれば、昔、旅篭の客の足洗いの仕事が辛かったのを思い出して夢に見るのだという。一方、茂七の家でもお絹が天井から大きな足が落ちてくる「足洗い屋敷」の夢に悩まされていた。
ある日、おみよは家の前でじっとこちらの方を見ている女・お新に気づく。そんな頃から、長兵衛が夜中に発作を起こして苦しむようになった。再び、姿を現すお新。意を決してお新の後をつけていったおみよは、お里とお新が話をしているところを見つけるが、張り込んでいた茂七が声を出さないようにと、止められる。じっと、様子をうかがうおみよ。もうすぐ長兵衛を殺す――お里が発した言葉に、おみよは耳を疑う……。


第六話:凍る月

ある日、茂七のところに、河内屋の主人・松太郎が尋ねてきた。松太郎は、大店の主人になったばかりだが、小心な男で、主人としての威厳を出そうとするあまり、神経質なまでに細かいことに騒ぎ立ててしまう。
しかし、それが元で、奉公人のおさきが失踪してしまったというのだ。
数日後、河内屋は、拝み屋と呼ばれる霊能力者・日道におさとの行方を見てもらったという情報が入ってきた。 それによると、おさきは、すでに死んでいるらしい。どうにも納得のいかない茂七は、日道の家に向かった。そのとき、その家から出てきたのは、いつも茂七がひいきにしている、あの稲荷寿司屋の親爺だった...。


第七話:迷子のしるべ

ある日、茂七の手下・権三が子供を連れてきた。権三が差配をしている長屋の住人が、八幡様の縁日で見つけた迷子だった。子供の持っていた迷子札から、馬喰町 の右兵衛店に住む、松吉・たえ夫婦の子らしいとわかったのだが、尋ねてみると、今はいない。松吉は三年も前に火事で死に、たえと長次もそれきり行方不明だという。しかも、長次は、三年前と同じくらいの年恰好だ...。


第八話:だるま猫

下っ引きの糸吉に、幼なじみの文次という若者がいる。彼はすでに二親に死に別れ、一膳飯屋にいたのだが、もっと男らしい仕事がしたいと火消しを目指している。とはいえ、若者のあこがれである町火消しになる道は遠く、それより格下である土手組の火消し人足にもぐりこむのが精一杯だった。
働きによっては町火消しに紹介してもよい。という親方の言葉を信じて、火事場に出る日を心待ちにしていたある日、ついに出番が回ってきた。
しかし、火事場は想像以上の恐ろしさで、生来が臆病者の文次は足がすくんでしまい、現場で呆然とするだけだった。

そんな自分の情けなさを、ある晩、一膳飯屋の角蔵に告白したところ、角蔵は箪笥の中から、古ぼけた頭巾を取り出した。頭巾には、だるま猫の刺繍がしてある。
『これをかぶると臆病風に吹かれねぇ。あきれるほど勇敢になれるんだ。おめぇがいるなら、やるよ。しかしなぁ、かぶり続けると、損をするよ...。』
文次は半信半疑ながらも、だるま猫の頭巾をかぶって火事場へ出た...。


第九話:神無月

ここ四年ほど、神無月になると、奇妙な押し込みがある。金持ちの商家に押し込むのだが、盗み出す小判は、かっきり十両でしかない。
「犯人は、堅気じゃないかと思うんだ」。茂七は、稲荷寿司屋の伊左次にそれとなく語ったのだが、伊左次は、「畳屋じゃないですかい?金のある家は、毎年畳替えをします」と、推理した。
これがヒントになって、畳職人の市蔵が下手人として捕まった。動機は、病気の一人娘の薬と医者代 のためだと言う。十両盗めば、死罪だということは充分わかっているが、心残りは娘のことだ...と、肩を落とす。
茂七の上役である新之助は、そんな市蔵を奉行所に報告して良いのかと悩むが、茂七は「市蔵の罪は罪だ」と一喝する。そして、自分の生い立ちを語り始める...。


第十話:侘助の花

顔切り魔が現れた。以前から噂があったのだが、茂七の縄張りである本所でも被害が出てしまった。
陰湿な犯罪に、茂七は一計を案じた。
そんなころ、副業の耳かき作りにも、珍事が起きる。 さる藩の轡田三太夫(くつわださんだゆう)と名乗るお侍が訪ねてきた。わが藩の殿が、茂七の耳かきをいたく気に入ったので、殿様専用に三本ほど作ってくれないか。とのことだった。
この三太夫の言葉を偶然聞いた小唄の師匠・お艶は、自分と同じ国訛りのあることに気づいた。その国は、稲荷寿司屋・伊佐次の郷里と同じだ。
ひょっとして...お艶は武家の出ではないか?茂七がそれとなくお艶にさぐりを入れると、やはり、お艶は伊佐次の娘らしい。
その夜、茂七は、伊佐次の店を訪れた。
「名乗ってみちゃどうだい?」...。


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