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十津川警部

晩秋、紅葉で名高い観光地、箱根の芦ノ湖畔を散策する画家の古木保男を憎悪の目で追う女がいました。彼女は、五ヶ月前に交通事故で死亡した保男の妻・亜紀子の妹・井関ゆきです。
 調布中央署では事故として処理されたのですが、ゆきは、亜紀子が保男を疑っていたのです。
 ゆきは、調布中央署に事故の再調査をするように依頼しているのですが思うような進展がなく、弁護士の中村慎一に復讐のため保男を殺害しようとしていることを打ち明けます。中村弁護士は思い留まるよう説得を行い、翌朝、警視庁の亀井刑事に相談を持ちかけました。
 
 中村弁護士の今は亡き父親と亀井刑事と親友でした。父の死後、亀井刑事は親身になって彼の相談相手になっていたのです。なんとか亜紀子の事故を再調査してもらい、ゆきが間違いを犯さないようにしたい。そんな慎一の願いを携帯電話が打ち砕きました。
 電話は箱根署から、井関ゆきが古木保男を殺害して自首してきたというのです。

 呆然として署に戻った亀井刑事、そのとき十津川に箱根署から依頼が来ました。
 井関ゆきの件について五ヶ月前の事故を調査して欲しいとのことです。
 十津川と亀井は、調布中央署に向かいます。そこで聞いた古木保男をめぐる一連の出来事は、背後に何か大きな闇を感じさせるものでした。
 保男は、亜紀子と結婚する前にも妻がいたのです。最初の妻・みどりは結婚二カ月後に事故で死亡し、保険金5,000万円が保男に支払われました。そして今回の亜紀子の事故ではひと月ほど前に加入した生命保険から8,000万円が支払われたというのです。
 
 その後、保男は、銀座の高級クラブのママや画廊の女性経営者などと次々に関係を持ったというのですから穏やかではありません。
 しかも、亜紀子が事故を起こした時、その自動車に保男も同乗するはずだったのです。しかし直前に体調不良を訴えて亜紀子がひとりで出かけた結果の事故というのも何かありそうです。
 保男には車に細工をする技術があるのだろうか?十津川の疑問に署の刑事は白井豊という人物の写真を出してきました。保男の古い友人で自動車の整備工をしていたというのです。
 
 しかし、十津川たちが白井のマンションについたとき、彼は死体になっていました。
 死因は頭部を鉄パイプで殴られたことによるもの。死亡時刻は箱根で井関ゆきが保男を刺した時刻とほぼ同じ頃です。また、白井の預金通帳には5か月前に500万円が振り込まれていました。日付は亜紀子が事故を起こした日の二日後です……となると、この事件も保男との関係が濃厚になってきます。
 十津川と亀井は井関ゆきに会うため、箱根に向かうことにしました。
 
 東京から小田原で箱根登山鉄道に乗り換えて箱根湯本から強羅に到着した十津川と亀井。ふたりを出迎えた会田警部は、驚きの情報を持ってきました。
 井関ゆきが保男にナイフを突き立てたとき、彼はすでに死体だったのです。青酸カリによって8〜10時間前に死亡していたことがわかりました。間もなくゆきは釈放されましたが、事件の謎は以前に増して深まってしまったのです。
 
 十津川たちの捜査で洗い出された関係者は、井関ゆきと中村弁護士のほかに3人がリストアップされました。
 森川次郎:古木の最初の妻・みどりの弟ですが、化学工場に勤めていて青酸カリのような薬物を入手できる可能性が高い人物です。
 望月京子:古木の恋人のひとり、銀座のクラブのママです。事件当日は箱根に親戚がいて二日間ほど旅行をしていたということです。
 岸本由美子:古木の恋人のひとり、画廊を経営し、自らも絵筆を持つ画家でもあります。事件の日は、終日アトリエで描いていたということでアリバイを証明する人物がいません。
 
 すべての人物が疑わしく思える状況に、捜査一課のメンバーも困惑を隠せません。そんなとき、森川次郎から死んだはずの古木保男から招待状が届いたという連絡を受けます。
 殺害された後の消印が押された封筒からは、招待状と共に、思わぬことで命を落としてしまった、ついては弁護士立会いのもと、遺言状を公開したい。という内容の手紙が入っていたのです。
 場所は箱根にある古木の別荘です。
 この招待状は、井関ゆきはもちろん、望月京子、岸本由美子にも届いていました。
 意外な展開ですが、事件の真相をさぐり、真犯人を見つけ出す絶好の機会です。十津川たち捜査一課は勇躍、箱根に向かいました。
 
 物語はここから本格的に動き出します。郊外の館に集う関係者たちというシーンは、ミステリーの王道ともいえる展開で、おもわずワクワクしてしまいます。
 紅葉が美しい箱根・芦ノ湖を背景に十津川警部の推理が冴え、明らかになってくる悲しい女の愛憎劇は見ごたえ充分の面白さです。
 寒い冬は暖かい部屋でドキドキのミステリーを存分にお楽しみください。

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