地方検察官は2年ごとに赴任地を変えていきます。
今回近松が赴任したのは、岐阜地検でした。金華山と長良川の美しい歴史の国に到着した近松は、さっそく事務官の北原宏美とともに岐阜名所めぐりを楽しんでいました。
そのとき、事件の知らせが入ります。郡上八幡で他殺死体が発見されたとのこと。
現場で指揮を取っていたのは郡上八幡署の鮫島警部でした。
被害者は村岡恒雄、刺殺です。古美術商をしていたという彼の部屋からは、趣味の釣り道具と共に大量の壷が見つかりました。
鮫島たちの身元調査の結果、部屋にあった壷は盗品の疑いがあり、さらに村岡の商売仲間がわかりました。天沼美術商の天沼昌也という男、村岡とは昔からの付き合いらしいのですが、どうも一癖ありそうです。
果たして、鮫島は天沼の雇っている江木敦史という男から、村岡と天沼が言い争っている現場を目撃したという情報を得ました。
どうみても怪しい。できれば別件でも天沼を逮捕したいと急ぐ鮫島ですが近松は反対します。別件逮捕は邪道だ、正攻法に勝るものはない。と信念を語るのです。
しかし、その天沼の死体が奥美濃の渓流で発見されたのです。
自殺だろうと推測される天沼の死に、捜査は行き詰ってしまいました。
が、発見されたうつ伏せ状態では現れない死斑に近松は、納得できない気持ちでした。
新たな手がかりを求めて天沼の書斎を調べていた近松は、額の裏に隠された新聞の切り抜きを見つけました。それには白骨死体が発見されたという記事が書かれていたのです。
なぜそんな昔の事件が...?しかもよく考えれば天沼ほどのしたたかな人物が自殺などするわけがありません。
もう一度洗いなおしてみよう!近松の執念が燃え上がります。
そして徐々に明らかになる真実の姿は、はるか27年前にまでさかのぼり、天沼、村岡たちの親から始まった怨念の歴史だったのです。
日本の歴史で重要な舞台となった岐阜の美しくロマンあふれる名所や名品を各所におりまぜながら繰り広げられる悲しい親子の物語。存分にご堪能ください。
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