研究開発減税
○ 試験研究費の総額にかかる税額控除制度の創設
試験研究費が増加した場合のみに適用される従来の試験研究税制(措法42の4)
に対し、今年度の改正で導入される研究開発税制は、試験研究費の増加にかかわ
らず、その「総額」について、税額控除を適用する。この「試験研究費の総額に
かかる税額控除制度」は、売上高に対する「試験研究費割合」に応じ、次のよう
に適用される。
| 適用年度 |
試験研究費割合 |
控除率 |
| 3年間の時限措置 |
試験研究費割合が10%以上 |
12% |
| 試験研究費割合が10%未満 |
10%+試験研究費割合×0.2% |
| 恒久措置 |
試験研究費割合が10%以上 |
10% |
| 試験研究費割合が10%未満 |
8%+試験研究費割合×0.2% |
(注)試験研究費割合=当期の試験研究費/当期を含む4年間の平均売上金額
○ 中小企業技術基盤強化税制(措法42の4)
青色申告書を提出する中小企業者(資本金1億円以下の法人又は従業員1,000
人以下の資本を有しない法人)に対しては、既に試験研究費の「総額」による税額
控除が認められている。15年度改正においては、新たな研究開発税制導入後も中
小企業技術基盤強化税制を存続させ、従来の税額控除10%を15%(3年間の時
限措置、本則12%)に改める。
○ 産学官連携の共同研究のかかる税額控除制度の創設
大学・公的研究機関との共同試験研究については、その試験研究費の12%相当額
の税額控除を認める。3年間の時限措置として、税額控除率を15%とする。中小
企業基盤強化税制の適用対象は資本金1億円以下の中小企業に限られるが、この税
制は中小企業に限らず、しかも「試験研究費割合」に関係なくその適用が受けられ
る。
○ 計算例
平成15年度において売上高10億円の会社が1億円の試験研究費を支出し、さら
にこの他に大学との共同研究に1億円の試験研究費を支出した場合の税額控除は、
その期の法人税額の20%を限度として、次の金額が認められる。
(1)試験研究費の総額にかかる税額控除
1億円 ÷ 10億円 = 10%
1億円 × 12% = 1,200万円
(2)産学官連携共同研究にかかる税額控除
1億円 × 15% = 1,500万円
(3)税額控除額合計
1,200万円 + 1,500万円 = 2,700万円
○ 制度の選択
中小企業技術基盤強化税制を選択した場合には、試験研究の総額にかかる税額控除
制度および産学官連携共同研究にかかる税額控除の適用はない。
○ 税額控除限度額
税額控除の限度は当期の法人税額の20%である。試験研究費の総額にかかる税額
控除と産学官連携の共同研究にかかる税額控除を併用した場合の限度額も、当期の
法人税額の20%で抑えられる。
○ 税額控除限度超過額の繰越控除
以上の3制度について、当期の法人税額の20%を超える税額控除限度超過額がある
場合に、その事業年度の試験研究費の総額が前事業年度の試験研究費の総額を超える
ときに限り、その税額控除限度超過額の1年間の繰越控除を認める。ただし、これら
制度の超過額を合計して当期法人税額の20%を限度とする。
○ 適用開始時期
これら改正の適用開始時期は「平成15年1月1日以後に開始する事業年度で、かつ、
平成15年4月1日以後に終了する事業年度」である。したがって、平成15年12
月決算法人から新制度の適用が認められる。
設備投資減税
○ IT投資促進税制の創設
平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に一定のIT関
連設備を取得して、これを事業の用に供した場合には、取得価額の10%相
当額の税額控除又は50%相当額の特別償却のいずれかの選択適用を認める。
さらに、資本金3億円以下の法人については、一定のリース資産を導入して、
これを事業の用に供した場合には、リース費用の総額の60%相当額につい
て、10%の税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の20%相当額を
限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しを認める。
この対象となる9種類の設備のうち4種類については、従来の「中小企業者
の機械等の特別償却(措法42の11)」の対象設備であり、残りの5種類
の設備が今回新たに手当てされた対象設備である。この取得価額の条件は、
原則として「600万円以上」であるが、資本金3億円以下の法人の場合、
対象として掲記されているソフトウェアについては「70万円以上」、その
他の設備は「140万円以上」となっている。
リース資産については、リース期間が4年以上(耐用年数を超えないこと)
で、リース費用総額は、ソフトウェアの場合は「100万円以上」、その他
の設備は「200万円以上」となっている。
○ 開発用研究用設備特別償却制度の創設
平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定の開発
研究用設備を取得して、これを事業の用に供した場合には、その取得価額の
50%相当額の特別償却を認める。この制度の対象となるのは、耐用年数省
令別表8(開発研究用減価償却資産の耐用年数表)に掲げる「器具及び備品」
「機械及び装置」に該当するもののうち、取得価額が280万円以上のもの
に限られる。
○ 適用関係
これら設備投資減税の措置は、平成15年4月1日以後に終了する事業年度
について適用する。平成15年1月1日から平成15年3月31日までに対
象設備を取得した場合には、平成15年4月1日を含む事業年度において、
その適用を認める。
同族会社留保金課税の不適用措置
同族会社の留保金課税制度について、自己資本比率が50%以下の中小法人
(資本金1億円以下の法人)について、平成15年4月1日から平成18年
3月31日までの間に開始する事業年度について、留保金課税を適用しない
措置を講ずる。これにともない、平成14年度改正で取り上げられた資本金
1億円以下の中小企業に適用される課税留保金額に対する税額の5%を軽減
する措置は廃止される。
この同族会社に対する留保金課税不適用を判定する自己資本比率は、次の算式による。
自己資本比率 = 自己資本(同族関係者からの借入金を含む)/ 総資産
上式中の「総資産」は、時価によらず簿価により算定される方向で検討されており、
これにより、大部分の中小法人が同族会社留保金課税の対象外となる。
さらに、同族会社判定の持分割合に基準が、従来の「50%以上」から「50%超」
に改正される予定である。
交際費損金算入枠の拡大
交際費等の損金不算入制度について、400万円の定額控除を認める対象法人の
範囲を改正前の資本金5,000万円以下の法人から、資本金1億円以下の法人に
拡大する。さらに、定額控除限度額までの損金不算入割合を20%から10%に
引き下げる。
改正前は、企業が支出する交際費について、資本金5,000万円超の法人は、そ
の全額が損金不算入となっていた。この取り扱いが、平成15年度の改正により
交際費が全額不算入となる資本金の基準を「資本金5,000万円超」から「資本
金1億円超」に引き上げられることとなる。
| 交際費額 |
改正前 |
改正後 |
| 損金算入額 |
損金不算入額 |
損金算入額 |
損金不算入額 |
| 300 |
− |
300 |
270 |
30 |
| 400 |
− |
400 |
360 |
40 |
| 500 |
− |
500 |
360 |
140 |
| 600 |
− |
600 |
360 |
240 |
| 交際費額 |
改正前 |
改正後 |
| 損金算入額 |
損金不算入額 |
損金算入額 |
損金不算入額 |
| 300 |
240 |
60 |
270 |
30 |
| 400 |
320 |
80 |
360 |
40 |
| 500 |
320 |
180 |
360 |
140 |
| 600 |
320 |
280 |
360 |
240 |
少額減価償却資産一時損金算入制度の拡大
中小企業(個人事業者を含む)に対する少額減価償却資産取得価額の一時損金算入制度を
創設する。中小企業者が平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に、取得
価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、その取得価額全額の損金算入を認
める措置を講ずる。
| 法 人 |
個 人 |
@ 資本若しくは出資の金額が1億円以下の法人の
うち、大規模法人の所有(株式の2分の1以上
の所有)に属さない法人
A 資本等を有しない法人のうち常時使用する従業
員数が1,000人以下の法人及び協同組合等 |
常時使用する従業員数1,000人以下の個人 |
| 区 分 |
償却資産税の課税 |
| 取得価額10万円未満即時償却分 |
な し |
| 取得価額20万円未満一括3年償却分 |
な し |
| 取得価額10万円超即時償却分 |
あ り |
| 改正前の少額減価償却資産に対する減価償却方法の適用について、その適用要件の区分を |
| 要約すれば、次の通りである。 |
|
通常償却 |
少額資産償却 |
一括償却 |
| 取得価額10万円未満 |
○ |
○ |
○ |
| 取得価額10万円以上20万円未満 |
○ |
× |
○ |
| 取得価額20万円以上 |
○ |
× |
× |
| 償却方法 |
定率法又は定額法 |
即時償却 |
3年均等償却
個別処理不要 |
| 償却年数 |
法定耐用年数 |
取得年度で全額償却 |
取得年度から3年間 |
| 取得時月数按分計算 |
要 |
不 要 |
不 要 |
| 残存価額 |
5% |
0% |
0% |
| 償却資産税の課税 |
あ り |
な し |
な し |
今回の改正により、中小企業者に対する即時償却が認められる取得価額の範囲が10万円未満
から30万円未満に引き上げられたことにより、少額減価償却資産の会計処理は即時償却が簡
便であるが、償却資産税の課税関係には注意を要する。
配偶者特別控除制度の改正
年間合計所得金額1,000万円以下の場合に適用される配偶者特別控除のうち、控除対象
配偶者(合計所得金額38万円以下の配偶者)について、配偶者控除に上乗せして適用される
部分の配偶者特別控除を廃止する。この改正は、平成16年分以後の所得税及び平成17年
分以後の住民税について適用する。
改正前における配偶者特別控除の金額は、次の表によっていた。
| 控除対象配偶者に当たる場合 |
控除対象配偶者に当たらない場合 |
| 合計所得金額(円) |
控除額(万円) |
合計所得金額(円) |
控除額(万円) |
| 0〜 49,999 |
38 |
380,001〜399,999 |
38 |
| 50,000〜 99,999 |
33 |
400,000〜449,999 |
36 |
| 100,000〜149,999 |
28 |
450,000〜499,999 |
31 |
| 150,000〜199,999 |
23 |
500,000〜549,999 |
26 |
| 200,000〜249,999 |
18 |
550,000〜599,999 |
21 |
| 250,000〜299,999 |
13 |
600,000〜649,999 |
16 |
| 300,000〜349,999 |
8 |
650,000〜699,999 |
11 |
| 350,000〜379,999 |
3 |
700,000〜749,999 |
6 |
| 380,000 |
0 |
750,000〜759,999 |
3 |
今回の改正により、上表の「控除配偶者に当たる場合」の部分の適用が廃止されるが、
「控除配偶者に当たらない場合」の部分は存続する。
相続・贈与税一本化措置
相続時清算課税制度を創設し、相続時の精算を前提に非課税枠2,500万円を設け、
非課税枠を超える部分については、税率20%で課税する。さらに、平成17年末まで
の時限措置として、住宅資金の贈与の場合には、非課税枠を1,000万円上乗せして、
3,500万円とする特例制度を創設する。従来の住宅取得資金贈与の特例については、
平成17年末まで経過措置として存置する。
○ 適用手続
生前贈与については、受贈者の選択により、従来の贈与税制度に代えて、贈与時
に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産
とを合計した価額を基に計算された相続税額から、既に支払った贈与税を控除す
ることにより、贈与税・相続税を一体化した納税手続きをとることができる。
本適用の対象となる贈与者は、満65歳以上の親で、受贈者は20歳以上の子で
ある相続人(代襲相続人を含む)とする。
本制度の選択を行おうとする受贈者は、その選択にかかる最初の贈与を受けた年
の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄税務署に贈与税の申告書にその
旨の届出書を添付して提出する。この選択は、受贈者である兄弟姉妹が各々、贈
与者である父、母ごとに選択できる。最初の贈与における届出書の添付により、
相続時まで本制度は継続して適用される。贈与財産の種類・金額・贈与回数に制
限は設けない。この改正は、平成15年1月1日以後の相続又は贈与から適用する。
○ 贈与税額の計算
本制度を選択した受贈者は、本制度にかかる贈与財産について贈与時に申告を行い、
他の贈与財産と区分して、選択した年以後の各年にわたるその贈与者からの贈与
財産の価額の合計額を基にした本制度にかかる贈与税を支払う。その贈与税の額
は、選択した年以後は、基礎控除110万円を控除せず、贈与財産の価額の合計
額から、複数年にわたり利用できる非課税枠2,500万円(特別控除)を控除
した後の金額に20%の税率を乗じて算出する。
○ 相続税額の計算
本制度を選択した受贈者は、本制度にかかる贈与者から、相続時に、それまでの
贈与財産と相続財産とを合算して、従来の課税方式(法定相続分による遺産取得課
税方式)により計算した相続税額から、既に支払った本制度にかかる贈与税相当額
を控除する。その贈与税額が相続税額から控除しきれない場合には、控除しきれな
い金額を還付する。
相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の時価とする。
○ 住宅取得資金にかかる相続時精算課税特例の創設
相続時精算課税制度について、自己の居住の用に供する一定の家屋を取得する資金
又は自己の居住の用に供する家屋について一定の増改築のための資金の贈与を受け
る場合に限り、65歳未満の親からの贈与についても適用することとするほか、こ
れらの資金の贈与については、2,500万円の非課税枠(特別控除)に1,000
万円上乗せし、非課税枠(特別控除)を3,500万円とする。
(1)「一定の家屋」とは
@ 新築又は築後経過年数が20年以内(一定の耐火建築物である場合には、
25年以内)であること。
A 家屋の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が
50u以上であること。
B その他所要の要件を満たすこと。
(2)「一定の増改築」とは
@ 増改築の工事費用が100万円以上であること。
A 増改築後の家屋の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する床面積)
が50u以上であること。
B その他所要の要件を満たすこと。
(3)住宅資金贈与特例の適用
この特例は、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に贈与
により取得する金銭について適用する。平成15年1月1日以後に取得した住
宅取得資金について、「住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の特例」の
適用を受けた者は、その贈与を受けた日の属する年以後5年間は、その贈与の
かかる贈与者からの贈与について、相続時精算課税制度を選択することはでき
ない。
○ 相続税・贈与税(暦年課税)の税率改正
従来の相続税最高税率70%については、個人所得税最高税率50%まで引き下げる。
贈与税についても、相続税に準じて見直す。
相続税の速算表
| 法定相続人の取得金額(1) |
税率(2) |
控除額(3) |
| 1,000万円以下 |
10% |
− |
| 1,000万円超 3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
| 3,000万円超 5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 |
30% |
700万円 |
| 1億円超 3億円以下 |
40% |
1,700万円 |
| 3億円超 |
50% |
4,700万円 |
相続税額 = (1) × (2) − (3)
贈与税の速算表
| 基礎控除後の課税価格(1) |
税率(2) |
控除額(3) |
| 200万円以下 |
10% |
− |
| 200万円超 300万円以下 |
15% |
10万円 |
| 300万円超 400万円以下 |
20% |
25万円 |
| 400万円超 600万円以下 |
30% |
65万円 |
| 600万円超 1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
| 1,000万円超 |
50% |
225万円 |
贈与税額 = (1) × (2) − (3)
適用時期;
相続税・贈与税一体化措置と税率の改正は、平成15年1月1日以後の相続・
贈与について適用する。
証券・配当関係税制
平成15年から適用する新証券税制については、特定口座制度の見直し、
株式譲渡益課税の税率引き下げ、配当課税制度の簡素化が図られる。上場
株式の譲渡益及び配当については、5年間10%(所得税7%・住民税3%)
の税率に統一する。これにともない、所有期間1年超の株式の譲渡益に対する
10%暫定税率及び100万円特別控除の制度が廃止となる。
<特定口座制度の見直し>
源泉徴収制度を選択した場合の措置として、源泉徴収税額の年間分一括納付
方式と住民税の申告不要制度が導入される。15年4月から20%の源泉徴収税
率(所得税15%・住民税5%)を10%(所得税7%・住民税3%)とする。
<住民税申告不要制度の創設>
源泉徴収制度を選択した特定口座は、所得税と同様に住民税についても申告
不要制度を導入する。それにともない、道府県民税に「株式譲渡益割」(5%、
15年4月からは3%)が創設される。
<配当課税制度の簡素化>
改正前の配当課税制度は、一銘柄につき一回5万円以下(一年決算のものは
1回10万円以下)の配当に適用される源泉税率20%による申告不要・住民税
非課税制度のほか、一銘柄年間50万円未満の配当に適用できる35%の源泉税
率による源泉分離課税制度の選択、或いは総合課税の選択制度をとっていた。
これが、今回の改正により一律20%の源泉徴収のみで申告を不要とする簡素化
が図られる。
すなわち、上場株式の配当課税については、所得税15%、道府県民税5%
(「配当割」を新設)の源泉徴収課税となる。源泉徴収のみで申告不要の上限特例
(一回5万円以下)の撤廃、少額配当の住民税非課税措置の廃止、35%源泉税に
よる源泉分離課税(一回25万円未満)の廃止が取り上げられる。
これらの改正により、平成15年4月からは、配当金額に関係なく、20%(所得
税15%・住民税5%)の源泉徴収が行われるが、この源泉徴収のみの課税で、
確定申告不要制度を選択するか、或いは確定申告により配当控除を適用する総合課
税を選択することとなる。この源泉税率については、改正当初の5年間は、所得税
7%・住民税3%の優遇税率が適用となる。株式投資信託についても、改正当初は、
源泉税率が20%から10%(所得税7%・住民税3%)に引き下げられる。
改正前の配当課税
| 区 分 |
所得税 |
住民税 |
| 1回の支払金額が5万円以下 |
20%の源泉税のみで、確定申告不要 |
非課税 |
| 1回の支払金額が25万円未満 |
35%の源泉税で、源泉分離選択課税 |
総合課税 |
| 1回の支払金額が25万円以上 |
20%の源泉税で、確定申告総合課税 |
登録免許税・不動産取得税関係
○ 登録免許税の改正
不動産登記にかかる登録免許税について、本則税率を引き下げるとともに、租税
特別措置法により、平成15年4月1日より3年間の措置として、本則税率を半分と
する特例措置が設けられる。一方、土地に関する登記について、その課税標準を固定
資産税台帳価格の3分の1とする特例が、平成15年3月31日をもって廃止される。
改正により、売買による所有権移転登記は、その税率が1,000分の50から
1,000分の20に改められ、さらに措置法の特例により、その半分の1,000分
の10となる。
ただし、土地に関する登記の課税標準を固定資産税台帳の価格の3分の1とする特例
措置が廃止されるので、改正後税率1,000分の10の特例期間が終了すると、改正
前より税負担が増大する。
固定資産税価格を300とすると、改正前は
300 × 1/3 × 5% = 5
改正後は、特例措置により
300 × 1% = 3
3年経過後に特例措置がなくなると
300 × 2% = 6
となる。
<改正前後の登録免許税税率表>
| 区 分 |
改正前 |
改正後 |
措置法特例 |
| 売買その他の原因による移転 |
1,000分の50 |
1,000分の20 |
1,000分の10 |
| 相続による移転 |
1,000分の6 |
1,000分の4 |
1,000分の2 |
| 贈与による移転 |
1,000分の25 |
1,000分の20 |
1,000分の10 |
○ 不動産取得税特例の新設
平成15年4月1日から3年間の時限措置として、不動産取得税の標準税率を4%から
3%に軽減する。平成15年1月1日から3年間に行われた宅地の取得については、課
税標準を固定資産課税価格の2分の1とする特例を講ずる。
平成15年度以降特別土地保有税を凍結し、平成15年3月31日をもって、事業所の
新設・増設にかかる事業所税を廃止する。
固定資産税については、地価公示価格の7割の評価水準を維持する。
法人事業税に外形標準課税を導入
○ 対象法人
付加価値額及び資本等の金額による外形標準課税の対象となる法人は、資本の金額又は
出資金額が1億円を超える法人とする。
○ 標準税率
| 所 得 割 |
付加価値割 |
資本割 |
| 所得のうち年800万円を超える金額及び清算所得 |
7.2% |
0.48% |
0.2% |
| 所得のうち年400万円を超え、年800万円以下の金額 |
5.5% |
| 所得のうち年400万円以下の金額 |
3.8% |
○ 課税標準の算定
<付加価値額>
付加価値は事業年度ごとに算定し、各事業年度の収益配分額(報酬給与額・純支払利子・
純支払賃借料の合計額)と各事業年度の単年度損益を合算する。
|
<報酬給与額>
各事業年度において事業所の従業員の労働に対して支出されるべき報酬・給料・賃金・賞
与及び退職給与並びにこれらの性質を有するもの(原則として法人税において損金の額に
算入されたものに限る)の金額を合計したものとする。
|
<派遣労働者の報酬給与額>
労働者派遣契約に基づき派遣労働者の派遣を受け、又は派遣を行う法人の報酬給与額につ
いては、次のように取り扱う。
@ 派遣労働者の派遣を受ける法人については、その派遣労働者にかかる労働者派遣契約の
契約料のうち、その事業年度にかかるものに75%を乗じた金額(みなし派遣給与額)を報酬
給与額に加えて得た金額を報酬給与額とする。
A 派遣労働者の派遣を行う法人については、その派遣労働者にかかる報酬給与額を限度とし
て「みなし派遣給与額」を控除して得た金額を報酬給与額とする。
|
<純支払利子>
各事業年度において支払うべき支払利子の合計額から、この合計額を限度として、各事業
年度において支払いを受けるべき受取利子の合計額を控除したものとする。
|
<純支払賃借料>
各事業年度において支払うべき土地及び家屋にかかる賃借料その他その経済的性質がこれ
に準ずるもの(その土地及び家屋を使用し得る期間が1月に満たない場合を除く)の合計額か
ら、この合計額を限度として、各事業年度において支払いを受けるべき受取賃借料の
合計額を控除したものとする。
|
<収益配分額にかかる雇用安定控除の特例>
報酬給与額が収益配分額の70%相当額を超える場合には、その超える額(雇用安定控除
額)を収益配分額から控除する。
|
<単年度損益>
各事業年度の単年度損益は、欠損金の繰越控除を行わなかったものとした場合における法
人事業税の所得とする。各事業年度の単年度損益の計算において、欠損金額が生じた場合
には、その欠損金額を収益配分額から控除する。 |
<資本等の金額>
資本等の金額は、事業年度ごとに算定するものとし、原則として、各事業年度終了の日に
おける資本金と資本積立金の合計額とする。「持株会社」及び「資本等の金額が1,000億円
を超える法人」については、資本等の金額を減額計算する特例がある。 |
○ 適用期日
この外形標準課税は、平成16年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
消費税の改正
中小企業者に対する特例である「免税点制度」及び「簡易課税制度」「中間申告回数」
「価格表示方法」に関し、次のような見直しが行われる。
○ 事業者免税点制度
その適用上限を3,000万円から1,000万円に引き下げる。この改正によって、新たに
相当数の中小企業者が消費税の課税事業者となり、各年度消費税の納税義務が課されること
となる。
○ 簡易課税制度
その適用上限を2億円から5,000万円に引き下げる。これにより、従来簡易課税申告を
行ってきた多くの中小企業者が仕入れ税額の実額に基づく本則課税が義務付けられる。
○ 中間申告回数
直前課税期間の年税額が4,800万円(地方消費税込みで6,000万円)を超える事業者
は、中間申告を改正前の3月ごとから毎月行うこととし、原則として、前年確定税額の12分
の1を申告納付する。事業者の選択により、従来の課税期間を3月とする特例制度について、
新たに課税期間を1月とする特例を設ける。
○ 課税取引の価格表示方式
事業者がその相手方である消費者に対して、商品の販売或いは役務の提供等の取引を行うに
際し、予めその取引価格を表示する場合には、その商品或いは役務等にかかる消費税額を含む
価格(総額)を表示することを義務付ける。
○ 適用期日
上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。ただし、課税
取引の価格表示方式については、平成16年4月1日から適用する。
改正消費税の適用時期
| 項 目 |
適 用 期 日 |
<事業者免税点の引き下げ>
年間課税売上高3,000万円以下から
1,000万円以下に引き下げる。
|
平成16年4月1日以降に開始する
事業年度から適用する(基準期間は
平成14年4月1日以降に開始する
事業年度となる)。
|
<簡易課税の適用上限の引き下げ>
年間課税売上高2億円以下から5,000万円
以下に引き下げる。 |
平成16年4月1日以降に開始する
事業年度から適用する(基準期間は
平成14年4月1日以降に開始する
事業年度となる)。
|
<課税取引価格総額表示の義務付け>
課税取引を行う事業者は、取引価格を表示する
場合、消費税等を含めた価格で表示する。 |
平成16年4月1日よりすべての課税 事業者に適用する。
|
総額表示方式類型
| (1) |
10,500円(本体価格10,000円、消費税等500円) |
| (2) |
10,500円(うち消費税等500円) |
| (3) |
10,500円(うち本体価格10,000円) |
| (4) |
10,000円(税込価格10,500円) |
| (5) |
10,500円(税込価格) |
| (6) |
10,500円 |
(参考)EUの消費税
| 国 名 |
表示方式 |
消費税率 |
| フランス |
総 額 |
19.6% |
| イギリス |
総 額 |
17.5% |
| ド イ ツ |
総 額 |
16.0% |
| デンマーク |
総 額 |
25.0% |