講演・放送

◎2024年度も引き続き、毎月第2月曜、23:09から14分間 NHKラジオ第一 ラジオ深夜便
「うたう生物学」と称し、生物学の話をします。もう7年目になります。毎回締めに歌う新曲が好評です。
最初の2年半分の話は、放送原稿に大幅に手を入れて「らじお深夜便 うたう生物学」として集英社インターナショナルから本にして出しました。その後の3年半分の放送原稿がそのままになっています。本にして出してくれる出版社を募集中!


◎4/23(火)13:30-15:30 火曜ゼミ(東工大科学史・技術史・科学技術社会論の公開研究会
「ボクが中公新書の著者になったわけ」
新著「ウマは走るヒトはコケる」が6冊目の中公新書になりました。意外な経緯で中公新書の著者になった昔語りをします。ボクもそんな 歳になったんだなあ
どなたでも参加できます。ズームの配信もあります(火曜ゼミのホームページをご覧下さい)
東工大大岡山キャンパス西9号館407号室


◎5/4(土)13:30-15:30
企画展「知られざる海生無脊椎動物の世界」講演会(小学校高学年以上)
本川達雄「ヒトデとホヤ・・・海生無脊椎動物の多様性」、もう一人の講演者は塚越哲氏
上野の国立科学博物館 日本館2階講堂


◎6/6,13,20(火)10:30-12:00 朝日カルチャーセンター京都
「ウマは走るヒトはコケる」
新著をもとにZoomで3回お話しします。


新刊案内

☆「ウマは走る ヒトはコケる」

中公新書

2月に新書が出ました。巷に溢れているのはタンパク質や遺伝子という目に見えないものについての本ばかりですので、目に見え、自分が日々行っていることが実感できることを扱う本を書いてみたい思い、コロナの間、ずっと籠もりっきりで書きました。脊椎動物の走る、飛ぶ、泳ぐを扱っています。動くためには骨格系がそれなりに出来ていなければなりません。脊椎動物の骨格系はより速く動くようにデザインされています。動物の運動を取り上げながら、脊椎動物のデザインを考える本にしました。

☆「ラジオ深夜便 うたう生物学」

集英社インターナショナル

NHKラジオ第1「ラジオ深夜便 うたう生物学」の今までの放送内容をまとめて本にしました。
週刊新潮が書評でとりあげてくれました。

「著者は『ゾウの時間ネズミの時間』で知られる生物学者。深夜のラジオ番組で話した内容、2年半分をまとめたのが本書だ。生物では珍しい星形には理由がある、ヒトデ。省エネの達人、ナマコ。完全介護状態を体現する、サンゴ。さらに通勤電車と虫かごの関係をはじめ、体の大きさや長寿をめぐる考察も。生物学の視点からヒトとその日常を眺めることで思わぬ発見が飛び出す。抱腹エッセイ。」(2022,4.21号)

☆「ナマコ天国」

絵:コシダミカ、文:本川達雄、偕成社

5月発売。ついにナマコの絵本を作りました。迫力のある絵を描いてくれたのはコシダミカさん。もともとはリケジョ。沖縄の黒島にある黒島研究所でナマコを愛でるナマコフリークです。
じつはナマコの絵本を作るのは乗り気ではありませんでした。子供向きの絵本だと、どうしても、それを読むとナマコが好きになるように作り勝ちです。でも、迂生はナマコ好きの子供を積極的に作ろうとは思わないのですね。「こんな可愛くもないグロテスクな動物でも、ナマコについて知れば、なるほどそういう生き方もあるのか」と、ナマコのありようを納得出来るようになり、好きにはなれなくても付き合ってはいけるようになると迂生は信じています。ナマコを研究する意味はここにあると思っているのですが、ここのところを子どもたちに伝えるのは、簡単なことではありません。これまで一社ならずナマコの絵本を作りましょうとのお誘いをうけたのに二の足を踏んできたのはこういう思いがあったからです。今回は熱心な編集者に負けて作ってしまいました。案の定、10年もかかったのですが。それでも、出来上がったものを見ると、面白い! 書いてよかったなと思っています。
なんと日経が書評でとりあげてくれました。竹内薫さんの評価は五つ星です!

☆「生きものとは何か」

ちくまプリマ新書

2月発売。古稀を迎え、生物学を学び始めて半世紀ですので、その間に自分なりに理解した「生きものとは何か」を高校生向けにズバリと説いた新書です。話はアリストテレスを中心に展開します。いまどきアリストテレスですから、まことに時代遅れの本ですが、生物の本質とは何かを考えると、やはりアリストテレスの慧眼はすごいなあと畏れ入るしかありません。前著の「生物多様性」で考えた、「私とは何か」を中心にして、生物について、また生物の時間について考える、意欲作です(つまり独断と偏見に満ちたものという意味)。「遺書」のつもりで書きました。
畏友千葉恵さん(アリストテレスの専門家で北大教授)にお送りしたところ、「これ面白いから、一緒に講演会をやろう」とお誘いを受け、なんと「現代生物学の無視してきたことーーアリストテレスに学ぶ」というシンポジウムをやってしまいました(4月18日,2019,北大ファカルティハウス)。はずかしげもなくあつかましくも哲学者の前でアリストテレスを論じることになろうとは、人生、何が起こるかわからないものです。

☆「生きものは円柱形」

NHK新書

長らく絶版となっていた旧著が、新書としてよみがえります。今読み返してみても、内容は古びていません。このごろ、こういう目に見える形での生物の機能や形を扱った本がなく、復刊させる意義は大いにあると思っています。新書化にあたり、かなり手を入れ、面目を一新しました。

☆「ウニはすごい バッタもすごい」

中公新書

無脊椎動物(サンゴ、昆虫、貝、ウニ、ナマコ、ホヤ)、それに対比させて陸上脊椎動物、それぞれの動物群のもつ独自の世界を語ったものです。30年前から、この手の本を書きたかったのですが、やっと思いをとげることができました。貝は大学院時代、サンゴは沖縄時代、ウニ、ナマコは助手時代から定年まで、ホヤは教授の時代と、昆虫、脊椎動物以外は、私が研究を行ったことのある動物で、思い入れがあります(昆虫も脊椎動物も学生実験では大いに御世話になりました)。私は付き合った相手は偉い! と褒めちぎってやりたい性分ですので、どの動物も、すごい、すごいとほめまくり、動物ごとに褒め歌をのせていますので、今回は7曲、楽譜がついています。ずいぶん回り道をしましたが、やっと自分の専門分野の新書を書けました。ほっとしています。週刊文春(3月16日号)に池澤夏樹さんが、日経新聞(3月25日)に福岡伸一さんが、朝日新聞(6月4日)に渡辺政隆さんが、とてもいい書評を書いて下さいました。こんな地味な本ですが、意外や意外、それなりに売れ行き好調です。
中公新書へのリンク

☆『人間にとって寿命とはなにか』

角川新書

これまであちこちで行った講演原稿を元に、ナマコの眼で今の社会を見たらどう見えるのだろうかという、一応筋の通ったストーリーに仕立てました。講演がベースですので、読みやすくできています。朝日新聞と読売新聞に紹介記事が出ました。また週刊現代には熊谷達也氏がたいへんいい書評を書いて下さいました。

☆「生物多様性ー「私」から考える進化・遺伝・生態系ー」

中公新書

なんと生物多様性の本を書いてしまいました! 
私は生物多様性など、専門家でも何でもないのですか、なぜかこの話題で話してくれという依頼が、時々あるのです。ナマコなどというヘンな生きものを研究していると、多様な(=ヘンな)生物の話しができでると思われるようなのですね。そこで猛勉強してみたのですが、どうにも、なぜ生物多様性を守るべきかを、わかるように書いたものに出会えませんでした。そこで思い当たったのです。守る「べき」とは価値の問題で、科学は価値に対して口をつぐむものなのです。そこで価値に関する本(倫理学)を付け焼き刃で勉強をして、何とか講演をこなしました。
ここまで勉強したのだから、これをそのままにしてしまうのはもったいない。というので本にしました。結局、生物とは何か、私とは何か、私はどう生きるべきなのか、という最も基本的なことを問うことになりました。こんなことをすれば、自分の底の浅さがそのまま表に出ることになるわけで、それはやらない方が身のためですが、飾り立てる必要もない人生ですから、まあ、45年生物学を学んで得た結論がこれ以上でも以下でもないということを、あからさまに書いておくのは、誠意の表れと思って書きました。定年に当たっての、生物学者人生の総決算みたいな本です。
中公新書へのリンク

☆「何のために「学ぶ」のか」

ちくまプリマー新書

桐光学園高校で行われた何人かの講義をまとめたものです。この巻には、外山滋比古、鷲田清一、小林康夫、茂木健一郎、前田英樹、今福龍太の講義が載録されています。
プリマー新書へのリンク

☆文庫版「おまけの人生」

文芸社文庫

「おまけの人生が」が文庫になりました。

☆「池上彰の教養のススメ」

日経BP

池上彰さんとの対談が本になりました。彼には東工大のリベラルアーツセンターの教授として来ていただいたのですが、彼とセンターの関係者(哲学の桑子敏雄さん、宗教学の上田紀行さん、それに迂生)が教養の大切さについて対談し、それをネット上で連載して来ました。それを本の形にまとめたものです。

☆「文庫版『長生き』が地球を滅ぼす」

文芸社文庫

「『長生き』が地球を滅ぼす」が文庫になりました。3.11以降の生き方を考える上で、本書の考え方は役に立つと信じていますので、その点も含めて、文庫化にあたり、それなりに手を入れました。

☆「研究者が教える動物飼育 第3巻」

日本比較生理生化学会編、共立出版

動物の飼い方集の中のヒトデとナマコの項を執筆しました。

☆「生物学的文明論」

新潮新書
昨年初頭に、NHKラジオ第二放送で連続講演を行いましたが、それを本にしました。好評です! すでに9刷(計4万部)。
読売、産経、東京新聞に書評が出ました。以下に読売のものを掲げておきます。

辛辣さの中に愛情
 寿命は生物ごとに異なる。たとえば、ゾウはネズミより30倍も長生きだ。ところが、一生で心臓が鼓動する回数は約15億回とほぼ一定。鼓動1回で消費する組織重量あたりのエネルギー量もネズミとゾウでほぼ同じ。
 つまり、エネルギーをつぎ込むと拍動は速まり、そのぶん寿命が短くなる。エネルギーを使えば使うほど時間は速く進んでいく。「生物はエネルギーを使って時間を生み出」すのだ。
 動物は食べることでエネルギーを得るが、ヒトだけは例外。食料だけでなく、石油や原子力から得たエネルギーも消費する。現代人は、生命体としての身体が消費するエネルギーの、実に40倍も外部エネルギーを使う。目的は「時間を速くするため」だ。飛行機や電子レンジがよい例だ。時間を節約するために、膨大な非生命活動的エネルギーを使っている。
 世の中が便利になるということは、生活環境の時間が加速するということ。いまや、加速しすぎてしまったかもしれない。約半数の人が「世間のスピードが速すぎる」と感じているらしい。
 社会時間が速くなっても、私たちの身体は生物のままだ。「生物時間と社会時間のギャップを抱えつつ、ヒトは幸せを感じながら生きていけるのか」。幸せとは何か。一昔前ならば楽な生活へ憧れたかもしれない。しかしモノが満ち足りた現在、便利になることが幸せに直結するのだろうか。「時間環境の崩壊」という、新手の環境問題の提言に触れ、めまいを覚えた。
 ところでヒトの心臓が15億回目の脈を打つのは40歳ごろ。長い老後は医療技術のたまものだ。エネルギーを使って余生を産出している。還暦過ぎの生を著者は「人工生命体」と呼ぶ。
 うかつに読めばしんらつにも映る本書に、しばしばナマコの例が顔をだす。著者にとって、一見なんの存在価値もないナマコは、幸せの象徴なのだろう。生物への温かい愛情が地下水脈となり、読む人にぬくもりを与えてくれるのだ。
 評者・池谷裕二(脳研究者・東京大准教授)
(2011年8月15日 読売新聞)

☆「環境保護は日本の歴史に秘策あり!」(文藝春秋)

BSフジPrime News編
BSテレビ番組で大井玄先生と出演したものが活字になりました。 「”長寿”が地球を滅ぼさないために」がわれわれの回のタイトルです。 他に、松井孝典、養老猛司、安田喜憲の諸氏のものがのっています。

☆「豊富的地球」(小魯文化事業股分有限公司)

張東君 訳
絵本「生きものいっぱいゆたかなちきゅう」の台湾訳が出ました

☆「図説 無脊椎動物学」(朝倉書店)

Barnes, RSK, Calow, P. et al, "The Invertebrates: a synthesis"の最新版の翻訳を、 小生がまとめ役となってすすめてきましたが、ついに出ました! 少々高い(23100円)ですが、 日本語で読める無脊椎動物学の教科書として頼りになるものが登場したことになります。
いやー、疲れた! たかだか翻訳と、いささかあなどっていましたが、やはりきちっとした仕事をするのは、相当のエネルギーが必要でした。

☆「さまざまな神経系をもつ動物たち」(共立出版、日本比較生理生化学会編)

本の一章「棘皮動物の変わった神経系と運動系」を書きました。

☆ 「ウニ学」(東海大学出版会)

「ヒトデ学」の姉妹版。今度はウニです。ウニのすべてが分かる画期的な入門書です。 朝日新聞の書評で高村薫さんが絶賛してくれました。こんな、かぎりなく専門書に近いものが、朝日の書評で取り上げられるなど、 そうはないことです。快挙! 書評をよむ

☆「世界平和はナマコとともに」(阪急コミュニケーションズ)

小生の第3エッセイ集。プシコ連載のナマコエッセイ、日本とアメリカの科学の違いを論じた 寿司サイエンスとハンバーガーサイエンスの日本語版、さらに教育論が入った刺激的エッセイ集です。産経抄に引用されました。

読売新聞に書評が出ました。 心臓も脳もなく、「砂の上に転がっている」ナマコは、なぜ他の生物に食べられずに生きていけるのか。 人気の生物学者が、その生態などをエッセーにまとめた。 生物学的な視点からみた現代社会と時間についてのユニークな考察も、 説得力十分で心を打つ。(阪急コミュニケーションズ、1500円) (2009年2月16日 読売)

☆「生きものいっぱいゆたかなちきゅう」(そうえん社)

小生のつくった歌、「生きものいっぱいゆたかなちきゅう」が絵本になりました。 絵はワタナベ・ケンイチ氏。(そうえん社のホームページで歌が聴けます)

☆「サンゴとサンゴ礁のはなし」(中公新書)

2008年の「国際サンゴ礁年」にあわせて執筆しました。この話題で本を書くと言うことは、 たんなる生物学の本というわけにはいかず、環境問題とどう取り組むかを考えなければなりません。 私の答えとしては、30年前(私のいたころ)の沖縄のように、物質的には貧しいが、 それ以外のものはじつに豊だった、ああいう社会をめざせば、問題は解決できるだろう、 というものです。でも、物質的に貧しくなろう、などと言っても、なかなか通用しないでしょうね。 いずれにせよ、環境問題、生物多様性、共生、がサンゴ礁のキーワードであり、 生物学とは言いながら、現代の大問題に直結している問題を扱った本になったと思っています。