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 2006年10月21日:滝川発釧路行鈍行列車
 今月の臨時特集として、新聞報道された鈍行列車の乗車記についてつづります。
 2006年10月21日の朝日新聞社会面で、「7時間44分、北海道鈍行列車の旅 全国からファン集う」と題して、北海道のJR根室本線を走る、滝川発釧路行普通列車に関する記事を掲載しました。9時38分滝川発、17時22分釧路着。まるまるサラリーマンの勤務時間だけ走り続ける鈍足列車は、鉄道ファンの間ではちょっとした有名列車です。

 日本で最も長い時間をかけて走る鈍行列車が北海道にある。7時間44分。道央の滝川から、終着の釧路まで310キロ。JR根室線の一部をゆっくりと走る。のんびりと流れる時間と車窓を楽しもうと全国からファンが乗りにくる。
 途中の富良野では21分停車。310キロを7時間以上かけてゆっくりと走る=北海道富良野市のJR富良野駅で9時38分。滝川駅の1番線ホームから、1両だけのディーゼル車両が、数人の客を乗せてゆっくりと動き出した。
 愛称はない。釧路行き。ただの「鈍行列車」だ。快速や夜行を除けば日本一の「長時間鈍行」が、毎日7時間以上の旅を続けている。
 列車は富良野を経て、十勝地方の広大な田園風景を抜け、釧路に向かう。滝川駅の駅員は言う。「釧路まで通して乗る地元の人はまずいないですよ」
 1時間ほどで富良野到着。ここで車両増結のため21分停車する。帯広でも44分と長時間の停車が多い。「急ぎの旅」とは無縁の世界だ。運転士も交代。終着まで4人がリレーで担当する。
 かつて「日本一の鈍行」として有名だったのが、山陰線の門司―福知山間。600キロを約18時間かけて走ったが、80年代半ばに廃止になった。新型車両の投入による高速化の波で、長距離を走るのは特急や寝台列車に限られるようになってしまった。
 全国で長時間を走る鈍行の廃止が相次ぐなか、夜行や臨時列車を除けばいつしか根室線が「日本一」になっていた。距離では山陽線の下関―岡山間列車(一部快速)の全長360キロが最長だ。
 トラベルライターの横見浩彦さん(44)は「時代の流れのなかで孤軍奮闘しているけなげさがある」という。夏場には多くのファンが、この列車目当てにやってくる。
 移りゆく車窓や入れ替わる乗客は、時間を忘れさせる。横見さんは「何げない日常が一本の列車の中に凝縮している面白さがある」と話す。停車時間を利用して駅周辺の散策や写真撮影ができるのも、ファンにとって魅力という。
 午後5時22分。釧路着。車内は帰宅する学生でにぎやかだ。すっかり日も暮れたが、釧路空港発の東京行き最終便には間に合う。1000キロ離れた東京までの空の旅は、2時間もかからない。
http://www.asahi.com/life/update/1021/003.html


 私も2004年4月18日に、この列車に乗ったことがあります。羽田・女満別間の往復航空券で渡道し、北見駅で北見から網走までの片道乗車券を購入、前日は隣の駅まで69分もかかる石北本線の鈍行列車、当日はこの滝川発釧路行鈍行、翌日は別途乗車で根室本線の厚岸や厚床に足を伸ばして駅弁を探した後、釧網本線のやはり鈍行列車で網走まで。2泊3日まるまる鈍行の旅でした。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 前夜は旭川に泊まり、朝の通学列車で滝川へ。駅舎に面した長い1番ホームに、たった1両のディーゼルカーがぽつんと止まっていました。この車両にこれから夕方までお世話になります。乗客は十数名ほど。9時38分、定刻に発車。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 道央と道東を結ぶ鉄道は、まず旭川から富良野線を経由するルートで開通し、次に滝川と富良野の間を短絡して「根室本線」を名乗り、そして1981年に千歳と新得を短絡する石勝線が開通して、現在に至ります。この鈍行列車は新得まで、今はローカル線となったかつての幹線を、石狩川の支流である空知川に沿って走ります。深川駅で買っておいた駅弁を、まずひとつ開封。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 10時45分、富良野着。ここで21分間停車して、同じ形のディーゼルカーを1両増結します。とはいえ乗客が増えたわけではなく、どうも北海道では勾配のきつい区間を走る列車の長さを、必ず2両編成以上にするためのようです。この先の落合と新得の間には、石狩と十勝を分ける壮大な峠越え「狩勝峠」が存在します。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 富良野からも空知川に沿って峠を目指します。車窓に広がっていた北の大地が右から左から山々に迫られ、乾いた田畑や道路にも徐々に根雪が現れ始めました。駅も線路も幹線鉄道の面影を残し、引き続いて大きく立派ですが、沿線の建物はだいぶ少なくなりました。ここで深川の駅弁を、もうひとつ開封。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 12時7分、落合着、15分停車。ここから先の列車は一日に快速3本と普通3本のみ。乗客はまばらで乗降はゼロ、駅員も車掌もいない、駅前に人家や商店はおろか自動販売機の1台もない、しかしかつては峠越えの鉄道拠点として賑わった大きな駅で、風雪に研ぎ澄まされた空気を一杯に浴びます。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 ここから険しい峠越え。しかし1966年に道内で最も長い延長5790mの「新狩勝トンネル」が開通して難所が解消、同時に日本三大車窓のひとつに数えられた眺望は失われました。それでもトンネルを抜けて日高山脈から十勝平野へ降りる途中では、地平線か水平線か、陸と空が真一文字に横断する遠景が望めます。2両編成のディーゼルカーも惰性でぐんぐんと加速。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 十勝に入れば車窓から山岳が遠ざかり、雪は消え建物が増え、風景も明るく変わります。ここからは札幌と帯広や根室を結ぶ特急と同じ線路を走るので、車窓や駅名もおなじみのもの。乗客も駅に止まる毎に増えていきます。今までになかった、新しい駅や住宅地も出現します。

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 13時39分、帯広着。ここで44分も停車します。この日の乗客は全員が下車。私もいったん降りて、駅前や駅構内を散策し、駅弁や飲料を調達します。駅は1996年の高架化で、新しくきれいだけど平凡な雰囲気に。釧路行の特急が10両編成もの長さで紫煙を盛大に噴きながら追い抜いていき、北海道ちほく高原鉄道の派手なディーゼルカーが顔を出したり。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 14時56分着の池田では予約制のステーキ駅弁を受け取り、15時5分着の十弗では駅名にちなんだ10ドル札駅名標が迎えてくれたり、15時41分着の上厚内では4分停車して貨物列車を通したり。現役の幹線鉄道なので、駅や線路は賑やかですが、車窓の雰囲気は荒涼としてきました。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 白糠丘陵を軽く越えて、16時を前にして厚内付近、ついに車窓から太平洋が見えました。ひととき賑やかだった車内も、この頃には再び空気輸送列車になっています。16時7分、尺別着、7分停車。かつて炭坑町として栄えて私鉄との乗換駅でもあり、今は炭坑の閉山で無人地帯となった寂しい駅にも、自然には春が来ようとしています。

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 16時31分着の古瀬でも10分停車。駅も含めて周囲に一棟の建物も見えない、ホームも狭く簡素な板張りという、駅というより停留所や信号所という言葉がふさわしい場所で、特急列車とあっという間のすれ違い。帯広で買ったおにぎりを、ここで開封します。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 列車の終点である釧路に近付くにつれ、車窓には工場が増え、乗客もまた少しばかり増えました。長旅を反映して、ワンマン列車の運賃表示も賑やかに。例えば横浜・福島間に匹敵する308.4kmもの距離を走るので、表示には「5560」という大きな数字が出ています。運賃箱に詰めるのが、大変そう。

鈍行写真 鈍行写真 鈍行写真

 17時23分、釧路着。ディーゼルカー2両のうち1両と、おそらく乗客1名の、7時間45分の長旅が終わりました。朝から夕まで、おつかれさま。今日は釧路で泊まります。

※2004年4月18日時点の列車時刻表
着時刻駅名発時刻
 
9:45
9:53
9:58
10:03
10:10
10:16
10:22
10:38
10:45
11:12
11:20
11:29
11:37
11:51
11:56
12:07
12:45
12:55
13:07
13:21
13:24
13:29
13:34
13:39
14:29
14:39
14:50
14:56
15:05
15:11
15:19
15:26
15:41
15:53
16:01
16:07
16:19
16:31
16:47
16:54
16:57
17:08
17:12
17:18
17:23
滝川
東滝川
赤平
茂尻
平岸
芦別
上芦別
野花南
島ノ下
富良野
布部
山部
下金山
金山
東鹿越
幾寅
落合
新得
十勝清水
御影
芽室
大成
西帯広
柏林台
帯広
札内
幕別
利別
池田
十弗
豊頃
新吉野
浦幌
上厚内
厚内
直別
尺別
音別
古瀬
白糠
西庶路
庶路
大楽毛
新大楽毛
新富士
釧路
9:38
9:46
9:53
9:58
10:03
10:11
10:17
10:23
10:38
11:06
11:13
11:21
11:30
11:38
11:51
11:57
12:22
12:46
12:55
13:11
13:21
13:24
13:30
13:34
14:23
14:29
14:44
14:51
14:56
15:05
15:12
15:19
15:27
15:45
15:53
16:02
16:14
16:20
16:41
16:48
16:54
16:58
17:09
17:12
17:18
 


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